研究課題/領域番号 |
26284049
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
鈴木 将久 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (00298043)
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研究分担者 |
新城 郁夫 琉球大学, 法文学部, 教授 (10284944)
若林 千代 沖縄大学, 法経学部, 教授 (30322457)
我部 聖 沖縄大学, 法経学部, 講師 (30635256)
羽根 次郎 明治大学, 政治経済学部, 講師 (30726261)
丸川 哲史 明治大学, 政治経済学部, 教授 (50337903)
崔 真碩 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50587243)
佐藤 賢 明海大学, 外国語学部, 講師 (50726487)
米谷 匡史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80251312)
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(中国) / アジア主義 / 戦後日本思想 |
研究実績の概要 |
戦後日本のアジア主義を日本一国の思想としてではなく、アジアの問題として問い直す本研究のメインイベントとして、平成27年度には、中国、台湾、韓国、シンガポールなどアジア各地から多くの研究者を招いて、一橋大学にて一連の大型公開シンポジウムを開催した。 平成27年8月1日には、東京大学名誉教授板垣雄三氏の講演会「Modernityについて考える人類的立場」を開催し、戦後日本歴史学を回顧するとともに、Modernityについてのまったく新しい構想を討議した。 平成27年8月2日・3日には、アジア青年会議を開催し、亜際書院理事池上善彦氏、作家金石範氏、琉球大学名誉教授仲程昌徳氏、評論家太田昌国氏の講演を通じて、戦後日本の国民文学、在日朝鮮人文学、沖縄文学および第三世界との連携について、それぞれ議論を深めた。日本で行われた議論が、アジアや第三世界へのまなざしと関係していたこと、戦後直後の問題課題が戦後の過程の中で変容しながら連続していたことなどが確認された。 なお上記二つのシンポジウムは、韓国語と中国語の通訳をつけて行われた。 また同時に、参加者の理解を深めるため、関連する資料の中国語および韓国語への翻訳作業を進めた。主な成果として以下のものがある。屋嘉比収「銃口はどこへ向けられたか」、阿波根昌鴻「真謝の農民と陳情規定」の中国語訳、金達寿「在日朝鮮人の文学」、宋益俊「詩の在り方をめぐって」、趙三竜「定型化された意識と詩について」、金時鐘「日本語の石笛」、金石範「文化はいかに国境を越えるか」、福田歓一「現代の民主主義--象徴・歴史・課題」、石母田正「堅氷をわるもの」、竹内好「プロレタリア文学」、岡本恵徳「戦後沖縄の文学」、仲程昌徳「戦記作品の先駆」の朝鮮語訳など。 さらに、平成27年6月15日には評論家仲里効講演会、6月18日には京劇研究者魯大鳴講演会をそれぞれ明治大学和泉校舎で開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたとおり、アジア各地の研究者を招いた大型公開シンポジウムを成功裏に開催することができた。一連のシンポジウムには、下記のものがある。平成27年8月1日に開催した、東京大学名誉教授板垣雄三氏の講演会「Modernityについて考える人類的立場」、平成27年8月2日・3日に開催した、亜際書院理事池上善彦氏、作家金石範氏、琉球大学名誉教授仲程昌徳氏、評論家太田昌国氏の講演。一連のシンポジウムには、中国、台湾、韓国、シンガポールから、合計五〇名近い研究者が参加し、日本国内の研究者と研究交流を進めることができた。 また当初の予定通り、関連する文献を中国語および韓国語に翻訳することができた。主な翻訳には下記のものがある。屋嘉比収「銃口はどこへ向けられたか」、阿波根昌鴻「真謝の農民と陳情規定」の中国語訳、金達寿「在日朝鮮人の文学」、宋益俊「詩の在り方をめぐって」、趙三竜「定型化された意識と詩について」、金時鐘「日本語の石笛」、金石範「文化はいかに国境を越えるか」、福田歓一「現代の民主主義--象徴・歴史・課題」、石母田正「堅氷をわるもの」、竹内好「プロレタリア文学」、岡本恵徳「戦後沖縄の文学」、仲程昌徳「戦記作品の先駆」の朝鮮語訳など。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、平成27年度に開催したシンポジウムの成果を整理し、日本語、中国語、韓国語にて発信する作業を行う。まず、一連のシンポジウムにおける板垣雄三氏、池上善彦氏、金石範氏、仲程昌徳氏、太田昌国氏の講演原稿を文字に起こし、整理する。第二に、その原稿を中国語と韓国語に翻訳し、しかるべき場において発表する方法を探る。 第二に、沖縄在住メンバーおよび東京在住メンバーが現在準備中の活動を確実に実行する。沖縄および東京で、ワークショップを開催する。 最後に、研究メンバーによる総括会議を開き、今後に向けての課題を明らかにする。平成28年度後半に、東京にて全メンバーの集まる会議を開催し、3年間の研究の成果を確認すると共に、今後の研究の課題を明らかにする。さらに、科研が終了したあとの研究体制について相談をして、継続的な研究の方法を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
沖縄在住メンバー(新城、若林、我部)および広島在住の崔真碩については、東京往復の便を考えて、出張旅費を多めに準備したが、東京往復がそれほど多くなかったため。 東京在住メンバー(羽根、佐藤)については、予定していた会議が、準備不足のため延期になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
沖縄在住メンバー、東京在住メンバーともに、平成28年度に海外からゲストを招いて会議を開催する予定。広島在住の崔は、東京の会議に参加する予定。
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