研究課題/領域番号 |
26284055
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
傳 康晴 千葉大学, 文学部, 教授 (70291458)
|
研究分担者 |
高梨 克也 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (30423049)
森 大毅 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10302184)
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・構造研究系, 准教授 (30312200)
鈴木 佳奈 広島国際大学, 心理科学部, 講師 (20443252)
増田 将伸 甲子園大学, 総合教育研究機構, 講師 (90460998)
横森 大輔 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 助教 (90723990)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 発話連鎖 / アノテーション / コーパス言語学 / 相互行為言語学 / 対話 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2人以上の話者による対話において、(1)複数の発話からなる「発話連鎖」を体系的に記述するためのアノテーション手法を開発し、(2)「発話連鎖」が構成される認知・相互行為過程を実データの分析に基づいてモデル化する ことである。本年度は以下のことを行なった。 ・多様なコーパスを対象とした発話連鎖記述の問題点洗い出しのため、4名の分析者が第1部分/第2部分/第3部分および参照先を独立にラベリングした結果の一致性を評価するとともに、不一致の原因となる問題点を整理した。 ・質問に対する応答発話で前置き要素を伴うものを主に取り上げ、その発話構成および質問発話の構成要素との対応パターンを分析した。これにより、複数の発話にわたる重層的働き掛けから引き起こされる相互行為の記述を進展させた。 ・「連鎖に属さない発話」のケーススタディとして、「なに」や「なんだろう」など疑問詞疑問文のフィラー的用法を取り上げ、これらの表現は、それ自体でターンを構成し質問応答連鎖を開始し得るが、特定の相互行為環境において相手からの応答を求めない発話となることを示した。また、目の前で産出されている発話に対して受け手としての地位を持たないための振る舞いと、そのような振る舞いを生じさせる要因について分析を行なった。 ・『日本語話し言葉コーパス』に基づき、対話と独話における発話の声の高さ(F0)に関する大局的・局所的な変動のパターンを分析し、両者の共通点・相違点について考察することで、相互行為に特徴的な韻律特徴を探究した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・隣接ペアや重層的働き掛けなど、あらかじめ設定していた発話連鎖パターンの検討が進んでいることに加え、課題採択時に新たに設定した「連鎖に属さない発話」の検討も進んでおり、当該年度の目標は概ね達成できた。 ・ただし、対話データへのアノテーション付与は、作業手順のマニュアル化の遅れ、作業者の手配の遅れなどの理由により、まだ一部しか施行されておらず、この点は今後改善する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
・対話データへのアノテーション付与作業を進展させるため、作業者を当初予定(2名)よりも増強し、年度前半で集中的に施行する。なお、増員分の雇用費や作業用PCの購入費には、本年度未使用であった助成金をあてる。 ・個々の発話連鎖パターンの検討は進んでいるが、パターン間の関係や発話連鎖の全体像についてはまだ検討されていない。各担当者間の連携を強めつつ、研究成果の有機的な統合に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究計画のうち、対話データへのアノテーション付与は、作業手順のマニュアル化の遅れ、作業者の手配の遅れなどの理由により、一部しか施行されなかった。そのため、作業者用にあてていた人件費・謝金に余剰が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
対話データへのアノテーション付与作業を進展させるため、作業者を当初予定(2名)よりも増強し、次年度前半で集中的に施行する。そのため、増員分を含めた作業者の雇用費や作業用PCの購入費として、本年度未使用であった助成金を追加してあてる。
|