研究課題/領域番号 |
26284063
|
研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
長田 俊樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 名誉教授 (50260055)
|
研究分担者 |
大西 正幸 同志社大学, 研究開発研究機構, 嘱託研究員 (10299711)
高橋 慶治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
桐生 和幸 美作大学, 生活科学部, 教授 (30310824)
児玉 望 熊本大学, 文学部, 教授 (60225456)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 南アジア諸言語 / 言語類型論 / 言語領域論 |
研究実績の概要 |
平成27年度は長田は9月と1月にインド・ジャールカンド州の州都ラーンチーに行き、ムンダ語の調査をおこない、高橋が3月にインドに行き、インド・ヒマチャチャール州でキナウル語の調査をおこない、桐生は3月にネパールに行き、カトマンドゥ周辺でネワール語の調査をおこなった。大西はフィールド調査には行かず、海外研究協力者であるドゥルガ・ドッドを日本に呼び、ベンガル語のとくにExpressivesについて、記述言語研究会で発表をおこなった。 研究発表については、この科学研究費の代表者と分担者を中心に南アジア言語研究会を2回開催し、長田がムンダ語について、児玉がテルグ語について、桐生がネワール語について、高橋がキナウル語について、その類型論的特徴をWALS(The World Atlas of Language Structures)の項目に沿ってまとめ、最終年度へのまとめとなるような準備をした。一方、国際学会には、長田が7月にカンボジアのシェムレアップで開催された国際オーストロアジア言語学会に出席し、「ムンダ語の幼児語について」発表をおこなった。また、桐生は7月に国立国語研究所でおこなわれた国際シンポジウム『文法化:日本語研究と類型論的研究』において、Grammaticalization of nominalizer constructions in Tibeto-Burman languages と題する発表をおこなっている。 大西が中心となって、類型論的枠組みがまとまりつつあり、最終年度ではその枠組みに沿って、それぞれの担当言語の文法概要をまとめる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度において、この科学研究費メンバーを中心にした南アジア言語研究会ではわれわれがカバーする以外の他の南アジア諸言語の研究者も参加し、言語類型論枠組みをたてるのに大いに役に立っている。その会がうまく機能していることがおおむね順調に伸展している大きな要因である。 フィールド調査について言えば、南アジアは昨年4月にネパールで大きな地震があり、事故が発生する確率も高く、また政治状況の不安定さやイスラムのテロ、毛沢東主義派の反政府活動などがあり、フィールド調査がうまくいかないケースが多々見られるが、個々人の一身上の都合でフィールドに行けないケースはあるものの、とくにフィールド調査の中止や中断を招く事態はなく、調査を行えたことも大きい。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度はいよいよ最終年度である。実は本年度に入ってすぐ大西によって、類型論的枠組みによるベンガル語文法が発表されたので、その枠組みに沿って、残りの長田、児玉、高橋、桐生の4人も、この枠組みに沿った形でそれぞれムンダ語文法、テルグ文法、キナウル語文法、ネワール語文法をまとめ上げることが今後の研究推進にとって一番重要なことである。 また、本年度には国立国語研究所において行われる、国際シンポジウム『日本語と世界諸言語のオノマトペ』に少なくとも長田、大西、児玉が参加し、ムンダ語、ベンガル語、テルグ語のExpressivesについて発表する予定でいる。類型論的枠組みにおいて、このExpressivesは重要な意味をもつので、これらの研究も今後推進していく予定である。
|