研究課題/領域番号 |
26284078
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
泉 恵美子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10388382)
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研究分担者 |
萬谷 隆一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20158546)
長沼 君主 東海大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20365836)
アレン・玉井 光江 青山学院大学, 文学部, 教授 (50188413)
田縁 眞弓 立命館大学, 産業社会学部, その他 (60646769)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小学校英語 / Can-Do評価 / 自己効力 / 自律性 / 有能感 |
研究実績の概要 |
昨年度の研究に引き続き,今年度も小学校英語の評価について、児童の学びを支援し、自己効力と自律性を高めるためにCan-Do評価を中心に研究を進めた。主な研究内容は以下の通りである。 ①小学校の外国語活動/英語教育における評価について,昨年度作成した『小学校英語Can-Do評価尺度活用マニュアル~Hi, friends! 1 & 2 Can-Doリスト試案~』について学会発表を行ったり,ワークショップやセミナー,教員研修等で紹介した。また,小学校外国語活動にCan-Do評価を取り入れることで,児童の学びがどのように変容するのか,また教員用内省シートを用いることで,教員の意識がどのように変わるのか,授業計画や指導がどのように変化し授業が改善されるかを,ビデオ録画した授業を分析し,担任やJTEにインタビューを行い,評価が指導に与える影響について検証した。また,小学生の英語学習への態度や動機づけ,学習者要因と評価,自律の関係について引き続き質問紙調査を行った。 ②今年度文部科学省より出された補助教材Hi, friends! Plusについて研究し,デジタル教材を中心にそれぞれの活動について,ねらいや活動を設定したCan-Do評価を作成し,『小学校英語Can-Do評価尺度活用マニュアル【別冊】~Hi, friends! Plus Can-Doリスト試案~』としてまとめた。その際,小中連携で大切となるリタラシーの指導と評価について,先行研究などを参考に有効な方法を探った。 ③Can-Do評価以外の様々な評価方法(質問紙,パフォーマンス評価,ポートフォリオ評価)などについても調査・検討を行った。(来年度も継続) ④小中連携:中学校におけるCan-Do評価について小中連携の視点から考察し,中学校におけるCan-Doの枠組みについて考え試案した。来年度にCan-Do評価尺度を完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画にそって概ね順調に進めることができたため。さらに,今年度予定外のこととして、文部科学省よりHi, friends! Plusが英語教育強化推進拠点校を対象に配布されたため,そのデジタルコンテンツや内容の分析を行い,Can-Do評価を作成することができた。その際,リタラシーの導入として小学校で読むこと・書くことをどの程度までどのように指導すべきかを研究し,Can-Do評価としてまとめて報告書を作成することができた点は大きな成果としてあげられる。しかし,当初予定していた中学校1年生のCan-Do評価作成はやや足踏み状態となったが,来年度に完成させ、実践に繋げる計画である。 また,昨年度作成した『小学校英語Can-Do評価尺度活用マニュアル~Hi, friends! 1 & 2 Can-Doリスト試案~』をもとに,授業実践を行い,学会で発表するのみならず,京都,福岡,名古屋でワークショップやセミナーを開催し,広く小学校教員や小学校英語の指導者,英語教育関係者に研究成果を還元することができた。ネットワーキングも構築し,多くの方を巻き込んで小学校英語の指導と評価を考えることができており,今後も中学校にも研究範囲を広げ研究を進める予定である。。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は以下の通りである。さらに研究成果を国内外の学会や研究会などで発表したり,HPを作成し,多くの教員が共有できるようにしたい。 ①中学校のCan-Do評価基準の作成を行う。小学校のCan-Do評価尺度指標の試案作成に続いて、中学1年を中心としたCan-Do評価尺度を作成する。また,小中学校での授業実践とCan-Do評価の検証を行い,作成済みのHi, friends! 1 & 2と、Plus、のCan-Do評価尺度,中学校のCan-Do評価尺度を元に授業を実施し、振り返りシートを用いた評価を行う。その際、児童の学びの質を高め、教師の授業改善につながる指導と評価のあり方を考え、作成する。また,私立小学校、国立大学附属小学校ではそれぞれのカリキュラムにあったCan-Do評価を作成し、授業を実施する。毎回行った振り返りシートを収集し、分析して、児童の変容を確認する。 ②Can-Do評価の検証と改善を行う。作成したCan-Do評価尺度をHPで公表し、セミナーやワークショップを実施し、それらを授業で活用した結果をフィードバックしてもらい,より良いものに改善する。 ③児童の情意面とスキルの相関の検証として,萬谷他(2012)を参考に、児童の英語学習への態度や動機づけ、コミュニケーションへの意識、評価への態度を見るため、質問紙調査を引き続き行う。データは学年別、学習者のタイプ毎に、動機づけ、自己効力感、有用感、自律等との相関を調べ、指導と評価に役立てる資料とする。また、引き続き児童のスキル面の変容を調べCan-Do評価との関連を調べる。 ④Can-Do評価以外の評価方法の開発と実施を行い,パフォーマンス評価、ポートフォリオ評価に取り組む。その際、ルーブリックを作成するとともに、小学生にふさわしいポートフォリオの作成法などをCEFRやELPを参考に考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者のお一人がサバティカルで海外研修中であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の研究において,新たに中学校教員数名に研究協力者になっていただくため,謝金等に充てる予定である。
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