研究実績の概要 |
本研究の目的は, 多国間コンピュータ支援協調学習(CSCL)を促進するために, ファシリテータを支援するための機能を備えたシステムを開発し, 効果を検証することである. グローバル人材育成のために, 語学力だけでなくコミュニケーション能力, 積極的な態度, 異文化理解の機会として多国間CSCL を捉え, (1) デザイン手法, 技法, 支援の3 視点からのファシリテーションの体系化・モデル化, (2) 学習者履歴を用いた効果的なファシリテーション技法の提案と情報共有・蓄積から複数のファシリテータの協働の促進のためのファシリテータ支援法モデルの構築, (3) ファシリテータ支援モデル(上記2)に基づいた多国間CSCL システムの開発と検証, の3 点を達成することを目指す. 具体的には, 多国間 CSCL において学習者間, 学 習者とシステム, 学習者とファシリテータ間, ファシリテータ間のデータやログを活用し複数の ファシリテータが効率的に協働し効果的にファシリテーションを行うためのシステムを開発する. 本研究の成果として多国間オンラインコミュニケーションにおけるファシリテーションの体系化・モデル化が期待できる. 授業設計に合わせたファシリテーションを設計できるようになり, 支援システムの開発により, 授業実施中において学習者の学習履歴を見ながら効果的なファシリテーション技法を選択し, 提供できるようになると考えられる. 研究的意義として, 今後のグローバル教育に関連する分野へ有意義な情報や示唆を提供できると考える. ただし, 平成28年度は育児休業のため, 研究中断届を提出しており, 研究を保留した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として, 平成 26 年と 27 年の成果を統合し, 開発したシステムを使い多国間 CSCL のファシリテーションについて, 実証実験を行い協働の効率性と学習への効果に関して検証を行う. システム自体の有用性の検証の他に, ベースとなるファシリテータ支援モデルの精度を上げるための確認も行う. 複数回, 違う教育機関の組合せで実証実験を行うことにより, 本研究成果の適用範囲を広げる予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
システム開発に関し, データ分析を行いアルゴリズムの確認を行い, 特に異文化とファシリテーション支援のための学習データの可視化機能の改良を行う. そのために, 第1期開発したシステムの改良とともに, 第2期に追加する機能の開発に使用する. また, システムの実証的検証, 多機関による授業開発, および研究と実践の普及のための準備に使用する予定である.
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