研究課題/領域番号 |
26284084
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
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研究分担者 |
徳見 道夫 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (90099755)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本語母語話者の英語 / 構文情報 / 構文解析 |
研究実績の概要 |
今年度は,研究計画に従いつつ,次年度のテーマの一部を先取りし,主に次のような3テーマを推進した. テーマ1. 試験研究のための日本人英語学習者の校正前後の英文対データの蓄積:科学技術論文等で日本人が産出した英文と,それを校正専門家が修正した英文の対を収集し,分析するのが本研究の最終的な目標である.今年度は,これらの過程を試行するためのパイロット・データとして,大学生の基礎教育課程で課されたエッセイ・ライティングを,許諾の上,一定量蓄積した(5テーマ×約30名分).校正情報は,担当教員の添削を基本とし,自動化処理に添う形で記述の形式や取捨すべき情報を精査した. テーマ2. 構文情報の効率的かつ確実な付与: テーマ1で収集した校正前後の英文対それぞれに対して,構文解析を施し,構文情報を付与することを試みた.構文情報としてはさまざまなレベルが考え得るが,最もオーソドックスな句構造情報を与えることとした.エラーを内在する英文であるので,テーマ1で付与された校正情報を参照し,エラー箇所は事前にその旨の情報を付与した.校正後の英文を構文解析器に通し,校正前後の構文情報の付与が可能となった. しかし,現在の構文解析精度を勘案すると,最終的な確認と修正は人手で行わざるを得ない.S式などのデータ表現形式に不慣れな研究支援員にはなかなか大変な作業で,パイロット・データ全体に対して確認・修正を施すには至っていない. テーマ3. 構文情報の変化(構文変化)を同定する方法の実装: 校正前後の英文対で変化のあった構文情報を検出するための方法として,木構造の編集距離を導入し,その計算環境を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
テーマ3など,次年度の計画の一部を前倒しつつ進めているものの,本年度の研究計画にあげたパイロット・データの完備(構文解析結果に対する確認と修正)が未達である.S式のようなデータ表現形式に不慣れな研究支援員には,構文情報そのままでの確認・修正作業は難解であった.
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今後の研究の推進方策 |
S式を直感的に表示するようなインタフェースを導入したり,研究支援員の複数体制化するなど,確認・修正作業の効率化を諮る.
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次年度使用額が生じた理由 |
パイロット・データの構文情報に対する確認・修正作業が当初の予定通り,注力できなかったことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には,実際に産出された日本語母語話者による学術英語の一部に,上述のような作業を施す予定であり,生じた次年度使用額はそれに充当することを考えている.また,この種の作業の効率化に関する研究等の情報収集にも使用する.その他については,当初の研究計画通りとする.
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