研究課題
平成28年度においては、公開研究会(シンポジウム)2回、台湾における史料調査を1回行った。第1回研究会(シンポジウム)は、平成28年8月7日(日)お茶の水女子大学で開催した。テーマは、日中の軍礼の比較研究であった。発表者と発表題目は、吉永匡史氏(金沢大学)「日唐の射礼と支配秩序ー唐軍礼の継受をめぐってー」、王博氏(中国社会科学院歴史研究所)「唐代軍礼の成立前提とその性格についてー田狩礼を中心に」、大隅清陽氏「平安前中期内裏における天皇の玉座について」であった。唐における軍礼の重要性と日本におけるその選択的受容が明らかとなった。軍礼の研究は日中ともに少ないので今後も研究の継続が必要である。第2回研究会(シンポジウム)は、平成29年3月26日(日)お茶の水女子大学で行った。発表者と発表題目は、古瀬奈津子(お茶の水女子大学)「敦煌の吉凶書儀の展開と日本の往来物について」、甘懐真氏(国立台湾大学)「従《通典》看第八世紀中国的教化観念」、石見清裕氏(早稲田大学)「『大唐開元礼』のその後ー唐後半期の儀礼書論議ー」であった。3つの発表とも唐代後半期および日本の9世紀以降の平安時代の礼書および儀式書に関わるもので、この科研のテーマである唐宋変革期の時期に該当する。古瀬の発表は、唐代後半期の敦煌書儀が北宋の『司馬氏書儀』に継承されていくことを、甘氏の発表は、唐代後半期の杜佑『通典』は周礼国家観による名分論を示すものであったが、唐代後半期には庶民社会が成立し、教化観念も庶民に及ぶようになったことを、石見氏の発表は唐代後半期における『大唐開元礼』の使われ方を述べた。平成28年9月20日(火)から23日(金)に台湾を訪問し、史料調査を行った。故宮博物院で『宋刑統』『唐律疏議』元刊本、中央研究院歴史言語研究所で広開土王碑原石拓本、居延漢簡、国家図書館で『開元礼』写本、校勘記などを調査した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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東京大学日本史学研究室紀要
巻: 21 ページ: 1-18
山形大学歴史・地理・人類学論集
巻: 18 ページ: 25-38
唐史論叢
巻: 23 ページ: 61-69
日本歴史
巻: 820 ページ: 88-90
古代文化
巻: 68-2 ページ: 137-139
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