研究課題/領域番号 |
26284094
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
渡辺 尚志 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10192816)
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研究分担者 |
長谷川 裕子 福井大学, 教育学部, 准教授 (20635122)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 検地 / 村請 / 中世・近世移行期 / 村落 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本中世・近世に実施された検地、および中世後期以降にみられるようになる村請に関する史料を、東北から九州にわたる広範囲において網羅的に収集し、検地方法や年貢納入方法に関する基礎的な検討を行うとともに、時代や地域による相違点・類似点を比較・検討し、それを通じて中世から近世における検地・村請の特質を追究することを目的としている。 平成28年度は、平成27年度と同様に、史料の収集と分析、および基礎研究を継続した。特に、平成28年度は、東北の調査・史料収集および分析を集中的に行った。東北地方に関して、研究代表者・渡辺尚志は、平成28年7月21~23日に福島県に調査に行き、福島県立図書館(福島市)等で検地・村請に関する史料の収集を行った。そこで収集した史料の情報は、本研究のために作成したフォーマットを用いてコンピュータ入力し、「検地・村請関係史料データベース」(仮称)構築に向けた作業を進めた。 また、研究分担者・長谷川裕子は、平成29年3月16~18日に、山形県内の史料調査を行い、本間美術館(酒田市)・酒田市教育委員会(酒田市)・山形大学附属博物館(山形市)・山形県立博物館(山形市)・御殿守(南陽市)などにおいて、史料の閲覧・撮影・複写を行った。 以上の東北地方における史料調査と並行して、各研究メンバーが、平成27年度と同様に地域を分担して、それぞれ独自に史料調査を行い、中世・近世移行期における検地・村請関係史料を悉皆的に収集し、データベース構築に向けた基礎作業を着実に進展させた。平成28年9月18日には、一橋大学において、研究メンバーの全体会議を開催し、各メンバーの作業進捗状況を確認するとともに、今後の研究計画について意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、4年間にわたる本研究の3年目に当たり、各研究メンバーが研究の意義と作業の進め方についての共通理解をもって共同研究を進めることができた。「検地・村請関係史料データベース」(仮称)構築に向けた情報収集作業が順調に進捗しているとともに、東北地方を対象とした重点的調査においても、着実に成果を積み上げることができた。また、各研究メンバーがそれぞれの担当地域について積極的な史料調査を行ったことにより、科研費配分額を有効に使用した。 以上のことから、全体的にみて、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、本研究の最終年度となるため、研究の総括を行う。そのために必要な補充調査を行い、全国規模での網羅的収集作業を完了させる。なお、全国的な史料収集にあたっては、研究代表者・渡辺尚志は東北地方と新潟県を、研究分担者・長谷川裕子は九州地方と滋賀県を、それぞれ担当する。 ほかの地域については、連携研究者・研究協力者が地域を分担して、それぞれ作業を進める。連携研究者・研究協力者の氏名と担当地域は、下記のとおりである。 黒田基樹(連携研究者)・・・関東地方、平井上総(連携研究者)・・・四国地方と和歌山県、川戸貴史(連携研究者)・・・中国地方と兵庫県、平山優(研究協力者)・・・山梨県・長野県・岐阜県、柴裕之(研究協力者)・・・静岡県・愛知県・三重県、木越隆三(研究協力者)・・・福井県・富山県・石川県 そして、これまでに収集した史料を集約して、地域別の「検地・村請関係史料データベース」(仮称)を作成する。このデータベースは、「一橋大学機関リポジトリ」において公開する。また、本研究の成果を論文集として刊行するため、各研究メンバーがそれぞれの収集史料を用いて論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に予定していた史料調査と、史料のデジタル撮影および紙焼き作業の一部を年度内に遂行することができなかったため、次年度使用額が生じることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度において、当初平成28年度に実施予定だった史料調査および史料のデジタル撮影と紙焼き作業を早急に実施することにより、速やかに使用する予定である。
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