本研究は、日本中世・近世に実施された検地、および中世後期以降にみられるようになる村請に関する史料を、東北から九州にわたる広範囲において網羅的に収集し、検地方法や年貢納入方法に関する基礎的な検討を行うとともに、時代や地域による相違点・類似点を比較・検討し、それらを通じて中世から近世における検地・村請の特質を追究することを目的としている。 平成29年度は、平成28年度から引き続いて、史料の収集と分析、および基礎研究を継続した。研究代表者・渡辺尚志は、アルバイトの大学院生の協力も得て、全国各地で刊行された自治体史の史料編や、各種史料集・史料目録類に掲載された検地・村請に関する史料情報を抽出し、それを本研究のために独自に作成したフォーマットを用いてコンピュータ入力する作業を進めた。 また、研究分担者・長谷川裕子をはじめとする各研究メンバーは、平成28年度と同様に、各自担当地域を分担してそれぞれ独自に史料調査を行い、中世・近世移行期における検地・村請関係史料を悉皆的に収集した。 私をはじめ各研究メンバーが収集した史料情報の入力作業は、平成29年度末においてすべて完了した。この成果は、「検地・村請関係文書データベース」として、平成30年4月に、一橋大学機関リポジトリにおいて一般公開すべく、一橋大学に申請した。 さらに、本研究において得られた成果を、中世・近世移行期における検地・村請等の諸問題を包括的に取り上げた論文集として刊行すべく、執筆者の確定や、各章の内容の検討等を行った。
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