研究課題/領域番号 |
26284096
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯塚 一幸 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50259892)
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研究分担者 |
村田 路人 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40144414)
宇野田 尚哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50324893)
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
田中 康二 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90269647)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本史 / 酒造業 / 思想史 / 国学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①小西家資料から得られた新たな知見を基に、近世史・近代史・思想史・経済史・文学にまたがる学際的研究を行う、②①を踏まえ、『小西家資料の総合的研究(仮)』を刊行する、③①②の前提として、新出の小西家資料の目録化を行うことである。このうち今年度は、五年計画の四年目であることから③を重点的に実施した。実績の概要は以下の通りである。 ・小西酒造萬歳蔵での資料調査を月1回のペースで、毎回大阪大学・神戸大学の院生・学生等10~20名の参加により計11回実施した。文書に関しては、前年度から継続の8ブロックを整理、17ブロックを終えて新たに20ブロックに着手した。目録化した点数は4799点、これまでの総点数は2万3841点となった。また、典籍については、6ブロックが終了して22ブロックに着手した。目録化した点数は430点、前年度までの分と合わせると1105点まで進行した。なお、目録化を完了したデータを研究代表者・研究分担者に配布し、共有化を図った。 ・目録化を終えた資料の中で本研究に必要と認めた分について、文書は撮影、典籍はスキャンを行った。今年度は8ブロックと17ブロックの撮影、6ブロックのスキャンを実施した。また、今年度は立命館大学の金子貴昭氏を講師に招き板木の撮影を行った。 ・研究代表者・研究分担者は、各自の研究課題の解明に努めた。研究課題の進捗状況を確認し、相互批判を通して本研究の質を高めるために、「小西家資料研究会」を1回開催した。その研究会で、研究分担者の高槻泰郎が新出の小西家資料を使って研究報告を行った。また、研究会に会わせて、今後の資料調査の進め方や、科研終了後の小西家資料の保存・活用方法について意見交換を行った。 ・前年度と今年度の調査の結果、小西家資料にある典籍の三分の一程は、大坂の両替商加島屋(長田家)の分家が収集したコレクションであることが判明しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の前提となるのが、小西酒造萬歳蔵に収蔵されている小西家資料の目録化であるが、大阪大学と神戸大学の院生・学生等による月1回の資料調査を継続して実施できており、おおむね順調に進んでいると判断している。また、目録化を完了した文書の撮影については、8月に伊丹市立博物館で集中的に行い、典籍のスキャンについても順調に進んでいる。 次に、研究代表者と研究分担者に加えて、小西酒造萬歳蔵資料の目録化を中心的に担っている大阪大学と神戸大学の院生も参加して、「小西家資料研究会」を開催することができた。その院生の内複数名は、『小西家資料の総合的研究(仮)』への執筆を希望しており、本研究を通した若手研究者の育成に向けて、一定の成果を挙げていると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であることを踏まえ、以下のような作業を行い、研究を進める予定である。 ・今年度は小西酒造萬歳蔵奥の概要調査を終え、新出の小西家資料の全体像把握に努める。また、研究代表者・研究分担者、大阪大学と神戸大学の院生・学生等による小西酒造萬歳蔵収蔵の小西家資料の目録化を継続する。 ・目録化の済んだ分については必要な資料の撮影・スキャンを実施する。撮影したデータはCD-Rに収めて、研究代表者・研究分担者・伊丹市立博物館・小西酒造で共有する。また、文書の撮影は8月に伊丹市立博物館で実施し、典籍のスキャンは毎回の調査で行う。なお、前年度に着手した板木の調査についても、専門家に依頼して調査と撮影を行う。 ・研究代表者・研究分担者は、撮影済資料データや各地の資料館・図書館・博物館等で収集した史料を踏まえ、各自の研究課題の解明に努める。また、研究の進捗を図るために、「小西家資料研究会」を二回開催する。とりわけ今年度が最終年度であるため、『小西家資料の総合的研究(仮)』の執筆者を確定し、刊行に至るスケジュールや出版社を明確にする。 ・小西酒造萬歳蔵収蔵の文書と典籍について、本研究課題終了後の保存方法を検討し、伊丹市立博物館と小西酒造とも協議して、方向性を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金の多くは、大阪大学大学院文学研究科と神戸大学大学院人文学研究科の大学院生・学生による、小西酒造萬歳蔵収蔵小西家新出資料の整理、目録化、撮影の謝金に使用している。今年度は文書・典籍・板木ともに多くの大学院生・学生の参加を得て、順調に調査が進行したが、昨年度の未使用額が多く次年度使用額が生じた。 次年度は本研究課題の最終年度で、補助金と助成金の合計額が今年度よりも減少する。小西酒造萬歳蔵収蔵小西家新出資料の整理、目録化、撮影は今年度と同規模の調査を予定しているので、全学を使用できる予定である。
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