研究課題
中世後期の都鄙関係の実態を分析するにあたり、この時期に台頭した守護の動向を押さえる作業は重要である。 しかし近年進められた守護所研究などにおい て、守護所の国支配の中心としての機能は低いと指摘されている。本研究ではこれまで全く注目されていなかった、守護が分国に創建した菩提寺(国菩提寺)の 役割に注目することで、守護の分国支配の実態、ひいては分国と京のあいだの都鄙交通の実態を解明する。延長年度にあたり本年度は、成果の公表・出版にむけて、各自で活動した。まとまっての活動は調査旅行を8月23~24日にかけて,調査地は丹波の周山・八上の神社などである。以上の検討を経た上で、『中近世武家菩提寺の研究』(小さ子社)が2019年5月に刊行される。16編300頁 目次は以下の通り。第1部 武家菩提寺をめぐる仏事と政治―祈願寺・京菩提寺・天下祈祷―(早島大祐)大名家の追善仏事と禅宗寺院(山田徹)三河中条氏と大陽義冲(小木英梨奈)第2部 中世後期武家菩提寺の展開阿波守護細川家と国菩提寺(衣川仁)近江守護佐々木六角氏と禅院・律院(大河内勇介)京極氏菩提寺の形成と変遷(西島太郎)第3部 近世武家菩提寺の諸相近世前期における細川家の菩提寺(林晃弘)大徳寺黄梅院にみる近世京菩提寺の成立と存立―毛利家との関係を中心に―(谷徹也)柳澤家菩提寺永慶寺の再建過程とその役割(平出真宣)前田利長菩提所の成立過程(萩原大輔)第4部 宗教・信仰から見た中世社会の転換一四世紀の大応派五山僧のネットワークと尾張妙興寺(小原嘉記)碧潭周皎の周辺と中世仏教 ―嵯峨・仁和寺・高山寺―(芳澤元)東寺領山城国上久世荘における鎮守・寺庵(高木純一)伊勢国における塩業・金融と信仰(亀山佳代)5部 蓬左文庫蔵『勝定院殿集纂諸仏事』の基礎的考察(大田壮一郎)地蔵院本『笠山会要誌』と寺誌編纂 ―附、翻刻(坪井剛)地蔵院本『笠山会要誌』影印
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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歴史学研究
巻: 969 ページ: 2-8