研究課題/領域番号 |
26284105
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
趙 景達 千葉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70188499)
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研究分担者 |
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 教授 (30161772)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
村田 雄二郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70190923)
須田 努 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (70468841)
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 准教授 (80468222)
山田 賢 千葉大学, 文学部, 教授 (90230482)
小川 和也 中京大学, 文学部, 教授 (90509035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東アジア比較史 / 身分制解体 / 士と知識人 / 民乱と百姓一揆 / 由緒と族譜 / 儒教的民本主義 / 国民国家 |
研究実績の概要 |
本年度は、身分的周縁論を前提としてみた近代移行期の日本の身分制解体問題を中心に、儒教的民本主義と国民国家形成の関連性を明らかにすることを大きなテーマとして設定した。その結果、日本と朝鮮では身分制解体のあり方の同質性と異質性が明らかになった。 両者とも19世紀に入ると身分制の動揺が始まり、日本では身上がりという現象となって現れた。それに対して朝鮮の場合は、同じくそうでありながらも、そもそもが一君万民を標榜する社会であったため、身分制そのものがあってはならないという当為の合意があった。思想史的には、すでに、支配階級のなかから身分制を無化するような議論が18世紀後半よりなされていた。こうしたことを前提に、18世紀中頃から朝鮮は民乱の時代に突入し、やがて甲午農民戦争へと上りつめていった。そこでは、士=知識人と民衆は同じく変革の主体として現れた。中国でも類似した現象が見られた。ところが、日本の場合は、そうした現象は起こらない。日本ではあくまでも武士は民衆の上に君臨する存在であったがゆえに、民衆を排除しようとする「草奔崛起」が誕生する。吉田松陰はその典型であった。 本年度はさらに、19世紀、日本・朝鮮・中国の3地域において、いかに由緒の強調(日本)・族譜の作成(中国・朝鮮)などが強められていったかを探ることも課題として設定していた。これは、身分制の解体とは別のベクトルである。両者は相矛盾している。にもかかわらず19世紀の東アジア社会史はこの二つの因子を動力として進展していく。しかし、このことの議論については、本年度十分に議論されたとはいえない、次年度以降にさらに煮詰めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調なのだが、予定していたシンポジウムが韓国からの招聘研究者の都合により実施できなかった。国内だけの研究会に終始したため、若干の予定のくるいが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は通常の研究会に加え、国際シンポジウムを開きたいと思っている。本研究は東アジア比較史を内容とするが、その際ヨーロッパの東アジア研究者が東アジア史をどのように見ているかということが研究者の間で気になりだしてきた。ドイツの東アジア研究の状況を探るためにハイデルベルク大学などを訪問し、研究交流をしたい。また、韓国からも研究者を招聘したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究者の都合によりシンポジウムへの招聘ができなくなったことが大きい。また、海外出張も、各人の都合により当初の予定よりできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は研究従事者を網羅する形での海外出張をするとともに、シンポジウムを開催して海外から研究者を招聘する予定である。
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