研究課題
基盤研究(B)
本研究は、古代ギリシア史とローマ帝国史における「衰退」に関する議論を新たに構築することを目的としたものである。まず、ギリシア史・ローマ帝国史の両方で1980年代以降に台頭した「衰退」を否定する新正統学説の検証をおこなった。次いで、古代史の各分野で史料分析を進め、「衰退」と見なせる現象を読み取れるか否か、実証的に検証する作業を進めた。さらに、「衰退」現象にとどまらず、それがいかに語られ叙述されたかという問題に焦点を当て、イギリスのオックスフォード大学で国際研究集会を主催して討論した。最後に、東洋世界の衰退に関する問題とも比較検討して、新正統学説を越える「衰退論」構築への議論をさらに展開した。
西洋史学