研究課題/領域番号 |
26284116
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
亀長 洋子 学習院大学, 文学部, 教授 (40317657)
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研究分担者 |
飯田 巳貴 専修大学, 商学部, 准教授 (00553687)
西村 道也 福岡大学, 経済学部, 講師 (10599814)
宮崎 和夫 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (40251318)
櫻井 康人 東北学院大学, 文学部, 教授 (60382652)
堀井 優 同志社大学, 文学部, 准教授 (70399161)
佐藤 健太郎 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80434372)
高田 良太 駒澤大学, 文学部, 講師 (80632067)
澤井 一彰 関西大学, 文学部, 准教授 (80635855)
黒田 祐我 信州大学, 人文学部, 准教授 (50581823)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地中海史 / 交流史 / 中近世史 / イスタンブル / コンスタンティノープル |
研究実績の概要 |
・国内研究会の開催 年2回の国内研究会を開催した。1回目は、2015年9月27日(日)に学習院大学北2号館2階史学科閲覧室にて行った。当日の時程は以下のとおりである。10:00: 科研メンバーによる科研の今後についての話し合い;13:00: 参加者による文献紹介・回覧、近況報告、抜き刷り配布など;14:00: 高田良太の報告 「コンスタンティノープルのヴェネツィア人-13世紀以降の居留地-」;16:30: 亀長洋子の報告「近世ジェノヴァ人史に関する断章ーーー国家体制と海洋政策を中心にーーー」19:00: 懇親会であった。2回目は、2016年3月7日(月)に学習院大学北2号館2階史学科閲覧室にて行った。当日の時程は10:00: 科研メンバーによる科研の今後についての話し合い;13:00: 参加者による文献紹介・回覧、近況報告、抜き刷り配布など;14:00: 亀長洋子の報告「コンスタンティノープル陥落直後における居留民の行動と心性ーーー中世ジェノヴァ人公証人登記簿の分析からの試論ーーー」;16:30: 飯田巳貴の報告「近世北イタリアの絹撚糸製造業とレヴァント生糸輸出入業」19:00: 懇親会であった。 ・海外調査 研究分担者の西村道也を派遣した。期間、滞在先、調査内容は以下のとおりである。3月16日日本発、3月22日現地発(3月23日日本着)。訪問地はイギリス(宿はすべてロンドン)で、主な訪問先は、大英博物館(ロンドン)、アシュモレアン博物館(オックスフォード)、フィッツウィリアム博物館(ケンブリッジ)である。調査目的は、ビザンツ古銭と古銭学文献の調査であり、三館で古代末期から中世の地中海世界の古銭を写真におさめたり関連資料を購入するなどの作業を行った。細部の分析はこれからであるが、調査の過程で、また各館の中世地中海の古銭の展示の差などから多くの知見を得たとのことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度開始時の計画である年2回の国内研究会開催は予定の時期に予定の人数で行われた。国内研究会の内容としても、本研究課題では中近世地中海史に関する個人研究の成果発表に加え、共通テーマであり平成28年度にイスタンブルで行われる国際ワークショップ(シンポジウムという名称とワークショップという名称のどちらがふさわしいかについては検討中)を念頭においての報告を当初より計画しており、その両方の報告がなされた。それらについては、個人研究の成果発表としては、亀長洋子の9月の報告と、飯田巳貴の3月の報告が該当し、また、高田良太の9月の報告や亀長洋子の3月の報告は、コンスタンティノープルを中心テーマに据えた内容であり、この国際ワークショップの事前準備報告となった。通常のメール会議に加え、研究会開催時にも、このワークショップの詳細とイスタンブルやその周辺での海外史資料調査についての話し合いが予定通り行われた。日程と会場、本研究のテーマにふさわしい調査先の史跡の検討、現地の文書館の状況、国際ワークショップにおけるトルコ側のパネリストの研究に関する情報とそれに対するこちら側の対応などについて綿密な話し合いがなされた。トルコ側のパネリストについては、イスタンブル大学助教のオズギュル・オラル氏と日本側のコーディネーターで研究分担者の澤井一彰が綿密に連絡をとりあい予定の詳細が決定しつつある。 また、本年度の海外調査予定であった西村道也も、ほぼ予定通りの海外調査を実施した。西村道也の調査はビザンツ古銭学に関するものであり、その内容はコンスタンティノープルの中世史に大きくかかわるものであり、その成果はイスタンブルでのワークショップでの報告に反映される予定である。以上のように、個人研究も成果をあげ、また平成28年度の国際ワークショップに連なる研究上・運営上の準備も着々と進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、参加者たちによるビザンツ帝国・オスマン帝国に関する海外共同史資料調査とイスタンブルでの国際ワークショップの開催を8月下旬に実施する予定である。研究メンバーのうち、残念ながら家庭の事情等により研究分担者の飯田巳貴、宮﨑和夫、連携研究者の斎藤寛海は現在のところ欠席の予定であるが、他のメンバーは参加の予定である。国際ワークショップについては、日本側報告者は亀長洋子、堀井優、西村道也、高田良太がつとめ、また、イスタンブル大学史学科のオズギュル・オラル助教と現在相談中であるが、数名のトルコ側研究者の報告を予定している。全体司会は澤井一彰がつとめる。イスタンブルの政情不安と治安の悪化が見られ、国際ワークショップと史資料調査の本年度開催が不可能になった場合は次年度に延期する予定で、その場合、直接経費等の特別繰り越しを申請する。また平成28年度には、このワークショップの成果確認や今後の課題を検討したり、また個人研究の成果を発表したりする目的も含め、国内研究会を1回開催する。 平成29年度には当初の計画通り国内シンポジウムを開催する予定であるが、研究分担者で東北学院大学に勤務する櫻井康人より、この研究課題の成果を東北エリアでも享受したいとの申し出があり、この研究課題参加者一同、地方に中近世地中海世界史の魅力を発信する貴重な機会であると考え、同大学との交流・共催での国内シンポジウム開催の可能性を現在模索している。国内シンポジウムのパネリストについては、イスタンブルでの報告者以外の研究分担者を検討している。また、通常の国内研究会も東京で開催したいと考えている。 平成30年度には、予定通り、研究成果報告書を作成することをめざしている。現段階までに既に興味深い研究報告が多くなされており、充実した報告書の作成が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は以下の点にまとめられる。 (1)連携研究者の斎藤寛海が、体調不良のために3月の研究会に不参加となり、予定していた国内旅費が未消化となった。また同研究者の体調不良により、同研究者の要望に基づく図書の購入の機会を逸した。(2)申請時より減額しての経費の配布となっており、平成28年度開催予定のイスタンブルでの国際ワークショップとオスマン帝国・ビザンツ帝国時代関連のイスタンブル等での共同史資料調査、平成29年度開催予定の国内ワークショップのさいの国内旅費等の経費、最終年度である平成30年度の報告書作成のための費用を保持する必要がある。(3)これまで、個人研究のための海外調査について、校務等の日程の関係で本研究課題の1,2年目よりも4年目を希望するという要望が出ており、それへの対応を考慮して次年度使用額を生じさせている。
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次年度使用額の使用計画 |
斎藤寛海には、体調の回復に伴い研究を進めていただくべく、平成28年度以降も図書購入や国内研究会参加の形で予算を利用してもらう。平成28年度国際ワークショップと共同調査においては、イスタンブル市内やトルコ内での史資料調査の移動の補助など、必要な経費を繰り越している金額からも使用する予定である。また、現段階で共同調査に不参加を表明している研究分担者が家庭状況の変化により参加が可能になった場合、繰越額も用いて旅費を提供する。 また、最終年度である平成30年度については、当初計画では国内研究打ち合わせを1回予定していたが、研究の進展により議論の機会の増加望ましくなったため、2回を想定し、そのための国内旅費を繰越額から捻出したい。また平成30年度作成予定の成果報告書についても、内容の充実とともに必要経費も増えるため、予算の関係で量を減らす必要が生まれないような資金利用を心がけたい。
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