研究課題/領域番号 |
26284118
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
池口 守 久留米大学, 文学部, 准教授 (20469399)
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研究分担者 |
坂口 明 日本大学, 文理学部, 教授 (10153876)
豊田 浩志 上智大学, 文学部, 教授 (20112162)
堀 賀貴 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20294655)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポンペイ / エルコラーノ / レーザースキャン / 交通システム / 獣骨 / 動物考古学 |
研究実績の概要 |
平成27年9月にポンペイ・エルコラーノにおける遺跡調査を実施した。街路のレーザースキャニングにより道路の勾配や轍に関する正確なデータが得られたほか,家屋のトイレ等水回りの調査も行った。輸送システム研究の関連でオスティアも比較考察の対象に加え,オスティアに近接する人工港ポルトゥスの構造や,築造後の海上輸送の変化,港湾都市の盛衰等についてデータの分析を行った。また,イギリス・イタリアを中心とするポルトゥスの発掘プロジェクト (The Portus Project) に携わるイギリスの研究者を平成27年11月に日本に招き,久留米で講演会を開催した。 サレント大学動物考古学研究所に依頼した獣骨については,当初計画よりも詳細な分析が必要になったため,期間を半年延長した。平成28年9月には分析作業がすべて完了し,ポンペイ考古監督局の立ち会いのもと,獣骨の返却を行った。分析の結果,計10,500点にのぼる獣骨が同定された。家畜の骨の数量としてはポンペイで最大であり,全イタリアでも第三位を占めるほどの規模である。動物種,性別,年齢,部位等の詳細なデータが得られ,家畜のみならず,食用小動物,害獣駆除を兼ねた愛玩動物,見世物に使われたと思われる猛獣の骨も確認されたほか,魚類の微細な骨や貝殻も多数同定された。このデータをもとに平成28年12月~29年3月に日本とイタリアで予定していたシンポジウムの構成と発表内容を協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
獣骨分析の内容をより詳細なものにしたため,これに予定よりも半年多くかける必要があった。平成28年9月に分析を終了し,中間的な成果報告としてのシンポジウムを平成28年12月と平成29年3月に行うとともにデータの解析と統合を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
ポンペイ・エルコラーノでの補充調査,およびヨーロッパの学会で成果発表を行うため,平成30年3月まで研究期間を延長した。補充調査は平成29年8月~9月を中心に行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポンペイからサレント大へ搬送された獣骨について,当初の予想に反し,破砕が進んだ骨片や,魚等の微細な骨が全資料の3分の2程度を占めることが明らかとなった。研究目的であるポンペイの動物利用や食習慣について知見を得るには,これらの微細な骨も分析対象とする必要がある。さらに労働に起因する亀裂をもつ牛骨については,組織分析を追加する必要も生じた。以上の理由から,分析期間を半年間延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
獣骨分析期間を半年間延長し,平成28年9月までに完了して,すみやかに獣骨の返却を行う。併せてポンペイ・エルコラーノのレーザースキャニングを含む補充調査,および文献調査を実施する。
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