| 研究課題/領域番号 |
26284120
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
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研究代表者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
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| 研究分担者 |
箱崎 真隆 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 研究員 (30634414)
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 放射性炭素 / 放射性炭素年代測定 / 年輪年代 / 樹木年輪 / 暦年代較正 / 放射性炭素濃度の経時変動 / 放射性炭素濃度の地域変化 / 加速器質量分析 |
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| 研究実績の概要 |
これまでに得ている日本産樹木試料の一年輪単位の14C年代データは，西暦72年～1860年にまたがり，西暦590～1070年，西暦1400～1860年は一年飛びだが連続している．これまでに，日本産樹木試料の一年輪単位の14C年代データは，IntCal13世界標準データと比較してほぼ一致しているが，詳しく見ると15年から30年古い方へずれる傾向がある．本年度の研究は，(i) 14C年代データの測定範囲をさらに拡大して古い年代への「ずれ」を確証する，(ii) ずれる理由を検討するために調査を地理的に広げる，の2点について研究を推進した．
(i)の年輪年代幅を拡大した試料については，紀元前700年～800年頃の年輪試料について14C年代測定を行い，日本産樹木年輪の若い年代範囲の試料と同様に，古めの年代を示すことを確認した．
(ii)の地域拡大については，まず，青森県下北半島産のアスナロ埋没林についてAD1310～AD1500の一年輪毎の14C濃度を測定し，それをIntCal13世界標準データと比較したところ，AD1310～AD1460の間は，日本産樹木年輪の方が，系統的に31年程度古く，しかし，AD1460～AD1500の間は平均15年若くなっている．また，韓国にて測定された樹木年輪14Cデータを入手し，それをIntCal13世界標準データ及び日本のデータと比較した．IntCal13世界標準データと比較すると，AD1250～AD1650の間では，+17+/-35年古く，AD1650～AD1850の間では，+6+/-31年古くなっており，傾向としては，日本のデータと良く一致していることを確認した．今回，アスナロ埋没林樹木について，AD1250～AD1650の間でIntCal13よりも若く得られた点は，一般的傾向とは逆になっており，今後，気候変動の要因などとの関連を調べる必要がある．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IntCal13世界標準14C年代較正データに用いられている14C年代データは，20年の年輪をまとめて測定されたものであるが，本研究では，1年輪ごとを目的としており，また，高精度を保証するため，同一の試料を複数回測定するため，現代から2000年遡るだけで大変な測定数になる．しかし，精度の高い測定であり，1年輪ずつの測定であったことから，AD774-775年の14C濃度の急激な増加（Miyake et al. 2012）の新発見がNature誌を飾った．樹木年輪の高精度14C濃度測定は，地球に入射する宇宙線強度変動の解析，特に，太陽活動の経時間変化を調査するうえでも大変有益な情報をもたらすものと言える．
本研究計画の初年度にあたる本年度は，(i) 紀元前700年～800年頃の年輪試料，(ii) 青森県下北半島産のアスナロ埋没林の14C年代測定，また，(iii) 韓国にて測定された樹木年輪14Cデータの解析を行い，樹木年輪の高精度14C年代の充実を図ってきた．この樹木年輪の高精度14C年代の充実を進めつつ，次のステップに発展させる計画であり，おおむね順調に進展しているといえる．
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| 今後の研究の推進方策 |
本邦の14C年代データの暦年較正のために，一年輪ごとの14C年代データの拡充をさらに進める．最近研究の進展が著しい年輪セルロースの<delta>18O値の変動パターンによる樹木年輪年代決定法により，最外年輪が西暦1年前後と決定された遺跡埋没樹木などについて，暦年代と14C年代のペアが求まり，それを比較すると，やはり日本産樹木年輪試料の14C年代は，古く得られる傾向がみられている．年輪年代が決定された樹木試料を集積し，樹木年輪の高精度14C年代を充実させることが不可欠である．これらのデータを活用して，次のステップである，日本産試料について，我々の一年輪単位14C年代データを用いて暦年較正を実施し，試料のより正確な暦年代が得られることを確認する研究を推進する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
年度末になって，年輪試料の14C年代測定に係わる試料調製のために，特別な器具（新型の試料ホルダー）が必要になったため，購入に必要な金額を計上していた．しかし，納期が間に合わなかったため，器具の購入を来年度に繰り延ばすことにした．そこで，計上していた金額を次年度に引き継いだ．
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| 次年度使用額の使用計画 |
試料調製のために必要な特別な器具につき，次年度早々に購入して，研究を進める．
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