研究課題
これまでに得ている日本産樹木試料の一年輪単位の14C年代データは,西暦72年~1860年にまたがり,西暦590~1070年,西暦1400~1860年は一年飛びだが連続している.日本産樹木試料の一年輪単位の14C年代データは,IntCal13世界標準データと比較してほぼ一致しているが,詳しく検査すると日本産樹木年輪試料の14C年代の方が15年~30年程度古い方へずれる傾向がある.昨年度に引き続いて,(i) 14C年代データの測定範囲をさらに拡大して古い年代への「ずれ」を確証する,(ii) ずれる理由を検討するために,調査を地理的に広げる,の2点について研究を推進することを目標にした.また,(iii)14C測定ラボに依存する系統的な14C年代のずれの発生の可能性を検討するために,全く同一の試料について,外国の複数の14C測定ラボで14C測定を行い,その結果の比較検討を計画した.(i)の年輪年代幅の拡大については,屋久杉について,12世紀中頃~14世紀中頃の年輪につて14Cデータを増やした.(ii)の地域拡大については,アリゾナ大学の年輪年代研究所において年輪年代が確定され保管されていた,ロッキー山脈に生育したBristlecone pineについて,新たに5490~5411BCの年輪を入手でき,1年輪に分けてそれらの14C年代測定を、名古屋大学、アリゾナ大学、スイス工科大学(ETH)にて行った.名古屋大学の14C年代がIntCal13に比べて系統的に古い14C年代を示したので当初は心配したが,他の2つの14C測定ラボの結果とよく調和していたことから,この年代範囲ではIntCal13の方に問題がありそうであることが示された.3つのラボの測定結果を総合すると,5481~5971BCにおいて14C濃度が急激な増加(0.20%/y)が確認された.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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