土器製作者の実証的な個人同定の方法論を大きく進展させた。これにより製作工程や製作場面あるいは製作者の動作などのリアルな復元に役立つことに加え、もっぱら集団を対象としてきた考古学から、集団を構成する個々人を実証的に扱える考古学へという学術的展開が促進できる可能性が高まった。応用展開として、中世初期の中国南宋の瓦から搬入されたことを実証するなど様々な成果も得られた。三次元計測とその応用法の普及をはじめ、考古学における科学的分析や実験、民族考古学的知見の応用などの促進・普及にも寄与できたと考える。人と物質文化の間の本質的関係を考えるうえで有効な視点も得られ、関連諸科学に寄与できる成果も得られた。
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