研究課題/領域番号 |
26284132
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠城 明雄 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00243866)
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研究分担者 |
大城 直樹 明治大学, 文学部, 教授 (00274407)
森 正人 三重大学, 人文学部, 准教授 (10372541)
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60216075)
橘 セツ 神戸山手大学, 現代社会学部, 教授 (70441409)
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80285311)
中島 弘二 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (90217703)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コモンズ / 空間スケール / 地理思想史 / 社会地理学 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは。「コモンズ(共有財・共有すること)」をめぐる諸問題の検討を課題としている。2015年度は前年度に引き続き、三つの研究班(思想・歴史系、理論・方法論系、社会的実践系)ごとに個人課題および九通研究課題について研究を進めると同時に、全体での研究集会を実施して情報交換を行い、研究課題のより深い検討を行った。思想・歴史班は、19世紀から20世紀前半のヨーロッパと日本におけるコモンズをめぐるさまざまな実践に焦点を当てた。その結果、諸装置を通じた知の移転と共有化、社会に対する地理(地政学)的知や実践の影響などについて具体的事例から検討することができた。また前年度に引き続き、科学知の形成とその共有\私有をめぐる諸問題への地理思想史的アプローチの可能性についても検討を進めた。 理論・方法論班は、「物質性」や「社会的実践」に加えて、「境界領域(ボーダー)」や「空間スケール」といった諸概念を用いて、コモンズとしての自然、歴史(記憶)、文化をめぐる政治・権力関係の分析を可能にする理論的枠組の構築を進めた。 社会的実践は、国家によるコモンズの解体や強制的収奪に対する身体的実践を介した抵抗、「自然」表象、コモンズ、ジェンダーの関連、都市と農村におけるコモンズ形成の具体的実践などについて具体的事例研究を進めた。その結果、「身体」をめぐる諸問題のさらなる検討を必要性が浮かび上がってきた。 12月に実施した全体での研究集会では、各班から研究報告が行われ、以上の論点を中心にして意見交換を行った。今年度は近現代世界における記号・物質のコモンズの編成とそれをめぐる闘争、およびその際の身体実践の役割などを明らかにすることができた。以上の研究成果は、学会などで個人発表という形で公表されたほか、その一部は『空間・社会・地理思想』19号、2016年3月(九州大学・大阪市立大学)として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は三つの研究班ごとに個人および共通の研究課題について、おおむね研究計画通りに研究を進めることができた。12月の全体集会やメールなどでの情報交換を通じて、各班や個人の研究動向と成果の共有が図られ、思想・歴史研究、理論・方法論研究、社会的実践研究を有機的に結合するための土台構築が図られたと評価される。また研究代表者は各研究班の班長と意見交換を行い、研究の進展状況や問題点などについて確認したが、今までのところ大きな問題点はなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は最終年度となるため、三つの研究班と個人のこれまでの研究成果を踏まえて、まとめの研究集会を開催し、自然・社会・文化の各コモンズをめぐる歴史および現在の状況を明らかにする経験的研究の提示とその統合を図り、「コモンズ」および「コモン化」の現在を理解するための新たな理論的視角を構築する。これらの成果については、8月の国際地理者連合の2016北京地域大会や12月の東アジア批判地理学者会議(香港)などの国際学会や国内学会(人文地理学会など)で発表し、2017年3月に『空間・社会・地理思想』20号(九州大学・大阪市立大学)や英文報告書『Japanese Contributions to the History of Geographical Thoought 11』(Kyushu University)という形で公刊する。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者の遠城明雄が、2015年8月に予定していた海外出張(パレスチナでの学会発表)を政情不安などの理由で取りやめざるをえなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
遠城は、2016年12月に香港で東アジア批判地理学者会議が開催されることになったので、この国際会議に参加する予定である。 また英文報告書の作成に関わる諸費用が当初の予定を超えることが予想されるので、その費用としても使用する計画である。
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