研究課題/領域番号 |
26284133
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
近藤 章夫 法政大学, 経済学部, 教授 (60425725)
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研究分担者 |
馬場 敏幸 法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)
朴 チョン玄 法政大学, 経済学部, 教授 (10317654)
外枦保 大介 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70581669)
與倉 豊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70586552)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済地理学 / 経済事情 / 産業立地 / 産業集積 |
研究実績の概要 |
科学技術と産業化の距離が短いサイエンス型産業において、さまざまな主体が近接することで得られる集積の利益は他産業よりも大きいことが想定される。この仮説のもと、サイエンス型産業における集積効果を考察するために定量的分析と定性的分析の両面から研究を進めた。定量的分析では、サイエンス型産業に属する各企業の研究開発の動向とその地理的特徴を明らかにするために、特許・論文等のデータベースを利用して公表されている大量データから研究者・技術者の属性を抽出して整理し、研究者・技術者の地理的分布、移動履歴、相互の技術・人的連関などの分析可能性を探りつつ、半導体産業やナノテク産業などの具体的なハイテク技術領域をサンプルとして分析を進めた。定性的分析では、2000年代以降の日本のエレクトロニクス産業の立地調整と集積の変動について文献調査および統計調査を行い、主に集積とイノベーションの関係性について課題と現状の考察を進めた。そのなかでも直近の20年間における国内主要事業所の動向に焦点をあて、事業再編と立地調整の関係、既存集積への影響について文献調査から明らかとなった点をもとに統計分析を補完的に進めることで多角的に考察を行った。また知識生産の動向の背景にある技術のルーツを探るため、地域における技術の軌道が記載されている工場史などの史的資料の収集を進めた。定性的分析においては、1990年代の国内のテレビ生産の変動と集積との関係性について英語論文として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は、初年度から実施している特許と論文のデータベース化をさらに進めることに注力し、定量分析に資する属性の整理等は予定どおりに進んでいる。定性的分析としてハイテク産業の集積に関する事例考察を同時に行い、英語論文として刊行するなど、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
特許および論文データを用いて出願人や著者の地理的属性を整理し、それらの定量的分析によって集積効果を考察するプロジェクトは今年度も継続して行い、整理できたデータのうち1990年代から2000年代初頭の半導体産業を対象にサンプル分析を進める。また、定性的分析として、サイエンス型産業に関わる企業や研究機関などについてヒアリング調査を進め、定量的分析とリンクさせつつ、また共同研究者と相互に連携しつつ研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に支出する予定であったデータベースの構築に関わるデータの利用料および分析アプリケーションの購入費については、研究の進捗状況から次年度以降に支出することに変更したため、次年度使用額が生じた。また研究計画に沿って実施する予定であった国内調査や海外調査の一部については、相手方との日程調整が難航して調査を延期したことも予定よりも研究費の支出が少なかった理由にあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
データベース構築に関わる利用料やアプリケーションの購入料などに支出する予定であるとともに、国内調査や海外調査なども積極的に実施する予定である。
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