研究課題/領域番号 |
26284137
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯嶋 秀治 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60452728)
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研究分担者 |
間宮 郁子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (30455381)
北川 由紀彦 放送大学, 教養学部, 准教授 (00601840)
増田 健太郎 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70389229)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 全制的施設 / 児童福祉施設 / 通所授産施設 / 自立支援施設 / 暴力 / ケア / 相互行為 / エスノグラフィ |
研究実績の概要 |
2年度目の調査計画では、1年目の歴史・統計的な文献研究を踏まえ、(1)前年度履行できなかった海外文献調査を遂行し、(2)研究メンバーから大きく欠ける視点として職員の実態をゲストスピーカーで補い、(3)それぞれの研究者が調査研究してきた施設のエスノグラフィックな紹介(第3回研究会)をし、(4)それぞれの施設の歴史・統計・個別背景を把握したうえで、各施設を中心にしたところでの「施設間移行」のケース検討を行う予定であった(第4回研究会)。 だが(1)海外文献調査は翌年度が海外比較のためそちらと統合することとし、(2)ゲストスピーカーには講演をしていただき特に施設運営の観点から大変参考になり、(3)研究分担者間でのエスノグラフィックな状況も十分に共有できたが、(4)第4回目の研究会では研究分担者の体調不良により翌年度に持ち越すこととした。 2年度目の研究会で解明された点は大きく分けて3点あった。 1点目は、施設間移行を基本的な問題として想定していたものの、当該人物の状況によっては施設が生存の場になっていること、また施設外に生存していれば問題ではないとする見方が通用しなくなっていること。 2点目は、また入所者にとって施設が必要な場であればあるほど、施設を運営してゆくうえで施設職員をバーンアウトさせない工夫が必要となるが、これには研修、職員のケア、施設の開放性、施設の経営などの諸種の工夫が必要となること。 3点目は、施設と言っても、身体・知的・精神・乳児・児童・野宿・高齢・受刑・宗教などによりその政府による投資の仕方も異なり、資源と入居者の割合を出さないと相対的な運営の実態が見えないといったことであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年度目に想定された先行研究の文献調査を3年度目の海外比較に統合するのは経済的便宜であったが、第4回目の研究が分担者の突発的な体調不良で計画通りに進まなくなるのが予想された際には、3名で続行するか、回復を待つか議論したものの、(1)治療法は確立されている症状であること、(2)第4回研究会では施設間のデータの突合せが必須作業となること、(3)突合せ用のデータには新たな長期調査は必要としていないこと等の観点から翌年度に持ち越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
上述した理由から、3年度目に第4回~6回研究会を行うこととした。また3年目は日本の諸施設の在り方と対照的なフィールドを研究している講師を招聘し国際比較研究検討をする予定である。ここでは特に、自身がオーストラリア先住民の社会的養護を研究して いる飯嶋、今回日本の通所授産施設とアイルランとおよびイギリスの状況を現地調査する間宮、 アメリカとの研究者の交流をもちこれまで検討してきた文脈を踏まえて比較ができる北川、フィンランドにおける教育の研究及びソーシャルワーカーをしている増田は調査結果を発表する。 第5回目の招聘予定講師は里親制度を中心としているオーストラリア研究者、第6回目は野宿者の支援の在り方自体が異なる研究者を招き、わが国とは対照的なあり方をしている制度を現実的に導入する上での課題を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大きく2つに分けられる。1点目は、オーストラリア先住民関係の先行研究の文献調査を検討していたが、3年度目の海外比較調査と統合した方が効率的であると判断したためである。2点目は、第4回の研究会が次年度持ち越しとなったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
オーストラリア先住民関係の文献調査は翌々年度に統合。また第4回の研究会は翌年度に計画している。
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