研究課題/領域番号 |
26284139
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40230940)
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研究分担者 |
栗田 和明 立教大学, 文学部, 教授 (10257157)
三島 禎子 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20280604)
嶋 陸奥彦 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (30115406)
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
松本 尚之 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80361054)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 在日アフリカ人 / 多文化共生 / 移民 / 都市人類学 / アジア―アフリカ関係 / 日中韓関係 / 東南アジアのアフリカ人 / アフリカでの日中韓プレゼンス |
研究実績の概要 |
今年は、まず共同研究初年度だったので、報告以上に調査を積極的に行った。嶋陸奥彦は 韓国の在韓アフリカ人研究の第一人者韓ゴンス教授と連携をはかり、韓国にて在韓アフリカ人の現状と変容について調査情報を交換した。これによって、今までにアフリカ人が集中していた首都イテウォン地区から生活困難により地方部への移動があることを確認した。三島禎子も、韓国のアフリカ人の生活状況を調査し、さらにアジアにおけるアフリカ人の動態をベトナム、シンガポールにおいて調査した。和崎は、日中韓から在アジアに広がるアフリカ人の拡張したグローバル移動を、今まで多くアフリカ人を受け入れていたタイや香港、シンガポールではなく、ベトナムにおいて調査し、近年アジアに多く進出しているアフリカ人プロ・スポーツ選手の動向に焦点を当て、サッカー選手を対象に、スポーツ省のヴィン国際協力局長から聞き取り調査を行った。とくに、アフリカ人が出現する首都ハノイの歓楽街タヒエン地区での外国人動態はじめハノイの都市調査をめぐっては、ベトナム都市人類学を専門とし、ベトナム語ができる長坂康代多治見看護高等専門学校講師(非)に研究協力者として共同研究に参画してもらい、この調査を進展させた。松本尚之は、カメルーンで行われた国際移動をめぐる生活文化の国際シンポジウムに参加し、主たる調査地ナイジェリアの隣国カメルーンで日本アフリカをつなぐ移動動態の研究を行った。三島禎子もまた、民博で、グローバルな人口移動に関する国際シンポジウムを開催し、その報告書をフランス語英語で著した。著書論文も数編発表でき、初年度としてはまず堅実なスタートをきることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度なので、論文や業績発表は調査が緒についたばかりでまだ多くは出していないが、その裏付けとなる実地調査については、共同研究全体として、アフリカ人の移動移民動態をアジア全体を広く覆って調査でき、着実に共同研究を前進させ資料を収集できた。三島、和崎の調査によって、今まで社会主義体制のなかで門外不出だったアフリカ人プロ選手のベトナムでの活躍の詳細な資料を手にすることが出来た。まったくフロンティアだった在韓アフリカ人の生活調査も、嶋と三島によって着実にスタートした。分担者松本尚之が、アフリカ(カメルーン)での国際学会でアフリカ移民やその元となる伝統首長制のありようを発表、さらに三島禎子が日本(民博)において人口移動をめぐる国際学会を開催し、アフリカ人のグローバル移動動態を共同研究して書をフランスの出版社から発刊するなど、いくつかの論文の発表もふくめて着実な共同研究の実りを示した。
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今後の研究の推進方策 |
日中韓におけるアフリカ人、そこから広がるアジアにおけるアフリカ人の生活動態ということでは、在日アフリカ人の生活調査はかなりの蓄積ができつつあり、これをさらに充実させる。在中アフリカ人の生活についても報告、論考が出てきており、これを発展させる。在韓アフリカ人の生活調査はまさにスタートしたばかりであり、この調査を積極的に発展させる。在アジアのアフリカ人の生活動態については、とくにベトナムの研究が実りつつあり、三島、和崎、長坂康代(今年度も研究協力者に依頼)を中心にこの調査研究をさらに推進して、第1次の論考の発表へとつなげたい。アフリカと関わりのあるベトナム人研究者を日本に招聘して共同研究会を開き共同研究を発展させることも計画している。アフリカでは、カメルーンの経済首都ドアラの一大目抜き通りが、今までのバミレケカメルーン資本やレバノンシリア資本あるいは植民地フランス資本から、一挙に中国資本へとその中心を変えつつある。この日中韓アフリカ欧の政治経済プレゼンスの競争協働関係の調査研究を促進する。アフリカにおける日中韓関係の調査研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国におけるアフリカ人生活調査を計画していたが、カウンターパートである広州の中山大学王教授の学内事情により、当地での共同調査がこの年はできなかった。また、韓国でのアフリカ人の生活調査は、カウンターパートである韓ゴンス教授(江原大学校)の希望日程と代表和崎、共同研究者渋谷鎮明教授の行動日程があわなかったので、嶋教授一人が韓国で調査することとなった。アジアでのアフリカ人生活調査は、三島、和崎とベトナム調査の頻度が増加しているが、学内事情により絶対日数が1週間と当初期待日数より短かった。資料整理では、フランス語、ベトナム語を扱える人材が限られ、あるいはアフリカ文化事情に通じるアルバイトが限られ、当初予定よりも整理量が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
在中アフリカ人の生活調査を今年は、中国との連携を良くして確度をあげて実施したい。また、在韓アフリカ人の生活調査は、嶋教授、三島教授に続き強化する形で、他メンバーも現地調査する。アジア調査では、在ベトナムアフリカ人の生活調査が、軌道に乗りかけているので、これをより発展した形で実施する。日数、訪問頻度、調査量も増加させる。また、アフリカと関わりのあるベトナム人研究者を日本に招聘して共同研究会を開くことも計画している。アジアアフリカ当地での移動手段だが、調査の質を高め民衆の生活資料を収集するべく、乗り合いバス等の共同交通手段を使用していたが、セキュリティを含めて調査の時間効率を上げ調査量を増大させるべくチャーター自動車等を活用する。全体として、もっと専門地域と領域をクロスさせる形で、在アジアのアフリカ人動態調査とアフリカ実地調査を、自由度を増した共同体制で遂行したい。
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