研究課題/領域番号 |
26285002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇佐美 誠 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80232809)
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研究分担者 |
森村 進 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40134431)
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
瀧川 裕英 立教大学, 法学部, 教授 (50251434)
佐野 亘 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20310609)
井上 彰 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (80535097)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法哲学・法理学 / 分配的正義 / 世代間正義 / 平等論 / 所有論 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、温室効果ガス排出権の地球規模の分配的正義論について、世代間正義論の研究蓄積や近年の新展開と接続しつつ、また平等論等の先端的知見も活用することにより考察を進める。その上で、排出権の国際的分配の多様な政策案を参照しながら、原理的考察に裏づけられた法制度を構想することをめざしている。この研究目的を効果的に達成するため、班単位でサブ・テーマに特化した研究活動を遂行すると同時に、全体会合を通じて各班の討議内容や成果の共有・統合を推進した。 平成27年度には、(1)先端的研究の把握、(2)理論構築、(3)共同討議を通じた理論彫琢、(4)中間成果の発表という四つの作業を予定していた。(1)に関して、前年度に引き続き、国内外において文献・資料の体系的な収集・分析や関連テーマを扱う研究者との情報交換を進めた。(2)については、温室効果ガス排出権の分配的正義、世代間正義、法制度設計の各々について各自が理論構築を進め、論文原稿の執筆に順次入っている。(3)として、班単位および研究組織全体の研究会合で、各自が論文草稿を発表し、共同討議を踏まえて理論の修正・拡充を行った。(4)では、中間成果物や研究課題に深く関連する成果物を多数公表した。主要な中間成果物として、宇佐美による気候正義の分配理念に関する国際会議報告が挙げられる。また、おもな関連成果物としては、宇佐美による災害レジリエンス向上策での公正や運平等主義の基礎と射程に関する国際会議報告、森村によるコミュニタリアニズム批判の論文と移民の倫理に関する国際会議報告、後藤が福祉の経済哲学を提示した著書と福祉国家・潜在能力アプローチ等を考察した多数の国際会議報告、瀧川が政治的責務論を分析した論文および国際会議報告、佐野による規範的政策分析の全国学会報告、井上がロールズ後の善・正義を論じた論文と移民の倫理を考察した国際会議報告などがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には、(1)先端的研究の把握、(2)理論構築、(3)共同討議を通じた理論彫琢、(4)中間成果の発表という四つの作業を予定していた。これらの作業は、班単位での研究活動および全体会合を通じて、いずれも順調に実施することができた。特に、中間成果物および研究課題に深く関連する成果物を多数公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28 年度には、(1)共同討議を通じた理論彫琢の継続、(2)中間成果の発表の継続、(3)各研究成果の有機的統合、(4)最終成果論文集の完成という四つの作業を実施する予定である。なお、平成27年度までの研究活動の結果、環境倫理学の専門家による参加が本研究課題のさらなる遂行にとって極めて重要であることが明らかとなったのを受けて、平成28年度には新たに鬼頭秀一氏(東京大学名誉教授)を研究協力者として迎える。鬼頭氏は、上記(1)~(3)に参加する他、(4)の論文集にも寄稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外での資料収集・意見交換・中間成果物発表等のために旅費を用意していたが、研究分担者の一部が他経費の用務を主として遂行する出張において、用務先で付随的に本研究課題の関連用務を行う場合が比較的多かったため、旅費について次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、研究分担者の旅費として使用する予定である。
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