研究課題/領域番号 |
26285003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三阪 佳弘 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (30219612)
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研究分担者 |
三成 賢次 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 理事 (90181932)
林 智良 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90258195)
坂口 一成 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10507156)
波多野 敏 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70218486)
阪上 眞千子 甲南大学, 法学部, 教授 (50294004)
林 真貴子 近畿大学, 法学部, 教授 (70294006)
田中 亜紀子 三重大学, 人文学部, 教授 (90437096)
的場 かおり 桃山学院大学, 法学部, 准教授 (50403019)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 弁護士 / 非弁護士 / 近代市民社会 / 訴訟手続 / 法的サービス / 代言人 / 比較法史 / 紛争解決 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、共同研究分担者が、それぞれの担当国の法的サービス需要充足の構造について、この3年間の検討結果を、作業部会において順次報告した。その報告テーマは以下の通りである。波多野敏による「フランス革命期の弁護士と公証人」、三阪佳弘による「明治10年代の滋賀県彦根地域における代言人と代人-民事判決原本DBの数量的分析」、林真貴子による「法専門職史研究の理論的射程--近代日本における法の継受との関連で」、的場かおりによる「近代ドイツにおける公証制度と法的サービス」、阪上眞千子による「イタリア中世公証人とローマ法学--「公証人たちの共和国」の公証人君主:ロランディーノ・パッサジェーリを素材に」、林智良による「共和政末期・元首制初期期ローマにおける法的サービスの供給者--法学者・弁論家の活動と知的背景」、坂口一成による「中国の基層法的サービスについて」、田中亜紀子による「戦前の刑事裁判における法的サービスの一端」「明治・大正期の弁護士活動及び事務所職員について」。なお、現地調査については、坂口一成による中国調査、林真貴子によるイングランド調査がそれぞれ実施され、両者による上述の研究報告の基礎となった。 以上のように、共同研究分担者による各国調査の中間報告を積み重ね、それぞれの知見を共有できたことが今年度の実績である。このことによって、最終年度に予定している研究成果、すなわち、それらを総括し、一つのまとまった出版物として発表するための基礎を構築することができた(なお、最終年度末に、それぞれの研究成果を原稿としてまとめ、その翌年度に大阪大学出版会から公刊する予定である)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度の計画として、比較の軸となる近代日本における法的サービス需要充足のあり方を前提に、当該時期における各国の状況についての報告とその知見の共有を予定していたが、3回の作業部会(8つの中間報告)でその成果を共有することができた。また実態調査については、科研としての共同調査は相手方との調整がつかず実施できなかったが、共同研究分担者2名により、中国、イングランドについて実態調査を行い、当地の専門研究者・関係諸機関のヒアリング調査ができた。 以上により順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
28年度までに、日本では法的サービス需要充足におけるその重要性が必ずしも定着していない公証人研究の進展が、イタリア・ドイツについて見られたが、弁護士についての研究成果が進展しなかった。そのため、29年度については、オーストリア・ハンガリーの弁護士研究についての知見を得るために、ゲストスピーカーによる研究報告を予定している。それとともに、各共同研究分担者による成果を年度末までに原稿としてまとめるために、最終検討会を順次行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度から予定していた東アジア共同調査の開始予定がずれ込んだこと、さらに28年度に予定していた海外協働調査が、受け入れ側との調整ができず実施できなかったため、その分の予算が未消化となった。
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次年度使用額の使用計画 |
個人情報保護の観点からの審査中のためこれまで複写ができなかった民事判決原本について、これらを複写するための費用(高額を予定)に余剰の予算を一部充当するつもりである。
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