研究課題/領域番号 |
26285007
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 隆司 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70210573)
|
研究分担者 |
飯島 淳子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00372285)
北島 周作 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00515083)
交告 尚史 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40178207)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 行政法 |
研究実績の概要 |
初年度である平成26年度の研究は、大きく比較法研究と重点的テーマ研究とに分かれる。 比較法研究としては、①従来日本でほとんど研究されておらず、資料もほとんど所蔵されていない、南アフリカの行政法の法典化について、関係する文献を収集し、概要を調査した。南アフリカは、公法の分野では伝統的にイギリス法の影響を強く受けているが、1996年の成文憲法に基づき行政法が本格的に法典化されており(2000年の行政的正義促進法)、しかも、ドイツの行政行為概念等の影響が見られる。こうした点で、南アフリカ法は、行政法の法典化を研究する上で、多様な要素が組み合わされた興味深い素材であることが判明した。②また、オーストリア法について、行政法の法典化の全体状況を分析した。近時の重要な動向としては、2012年の行政裁判制度改革により、第一審行政裁判所が創設された反面で、地方自治体の固有領域の処分を除き、審査請求を行うことができなくなったことが挙げられる。 重点的テーマ研究としては、特に行政不服審査を取り上げた。平成26年度に行政不服審査法が全面改正されたが、研究代表者・研究分担者・連携研究者はそれぞれ、註釈に参加し、あるいは施行のための実務上の準備に関わった。しかし本研究ではさらに、これまで十分明らかにされていない訴願法から行政不服審査法へと移行する際の立法過程を分析することとした。今年度は、立案時の審議資料を収集し、議論されたテーマの概況を分析するところまで研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に計画した、比較法研究、重点的テーマ研究とも、次年度以降に新規性・独自性のある研究成果を挙げることを見込める素材を発見でき、初年度の研究として概ね順調な滑り出しになったと評価できるから。
|
今後の研究の推進方策 |
比較法研究については、文献調査により、今年度の研究を深化させる。重点的テーマ研究については、当初の行政不服審査法に係る立案時の審議過程の調査に、かなりの時間を要することが予想されるが、資料の読解を分担した上で、研究会を開催して各自の検討結果を持ち寄って相互に調整することにより、効率的に研究を推進することとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の初年度であったため、文献・資料の収集が途中の段階であり、また海外の研究者の招聘についても、先方と日程調整を済ませた段階であるから。
|
次年度使用額の使用計画 |
行政不服審査法の当初の立案時に係る審議過程の資料を整理するために、相応の支出が見込まれる。また、比較法のための文献・資料の収集にも、引き続き支出する予定である。特に、研究代表者が中期の在外研究を予定しており、その間の文献・資料の収集・送付等のために、今年度以上の費用を要する。
|