研究課題/領域番号 |
26285007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 隆司 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70210573)
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研究分担者 |
飯島 淳子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00372285)
北島 周作 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00515083)
交告 尚史 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40178207)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 行政法 |
研究実績の概要 |
今年度はドイツのハイデルベルク大学からヴォルフガング・カール教授を招聘し、行政法の法典化の一般的な意義と限界、ドイツにおける行政法の中心的な法典である行政手続法の最近の動向、およびEUにおいて最近公表された行政手続法の草案について、講演をしていただき、討論を行った。特に、2014年に公表されたEUにおける研究グループ(ReNEUAL)によるEU行政手続法模範草案、および2016年にヨーロッパ議会が策定した「開かれた効率的な独立性をもつEU行政」のための規則の提案は、本研究との関係で重要であり、提案理由、解説や草案をめぐるシンポジウムの記録を収集して集中的に検討した。前者については、行政機関による情報管理と情報交換に関する詳細な規定を含んでいる点、および、契約についてもやはり詳細な規定を含み、かつ個別事案の決定(行政行為・行政処分に概ね対応する)と関係づけて共通の規律を置く点が、従来の諸国の行政手続法と比較した場合の特徴であり、今後行政法の法典化を進める場合の方向を示すものとして注目される。後者については、EUの機関による行政、しかも個別事案の決定に対象が限られている点で限界が大きく、また、このテーマに関して提案権を独占するEU委員会が明確に消極的な姿勢を示しているため、規則制定が実現される見込みも薄い。しかし、フランスにおいて最近実現した行政法の法典化と相まって、ヨーロッパにおける法典化の「ルネサンス」ともいえる状況を顕著に示していると評価できる。少なくとも、今後議論がさらに活発になることが予想され、動向を注視する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヨーロッパにおける法典化の動向の研究と、日本における当初の行政不服審査法の立案過程の研究という2つの柱について、定期的に研究会を開催して計画的に研究を蓄積できている。ヨーロッパからの著名な研究者の招聘と議論も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方針を変える必要はない。ヨーロッパにおける法典化の動向の研究と、日本における当初の行政不服審査法の立案過程の研究という2本柱について、年度前半で残りの部分を完了させた上で、年度後半に取りまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が平成28年度前半に長期海外出張をし、支出手続をとることに限界があったため、その間の支出が少なくなった。また、平成28年度後半には、海外から研究者を招聘したが、講演等を他の研究プロジェクトと共催で行い、費用を分担したため、当初の予定より若干支出が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、ヨーロッパで近時進んでいる法典化の動向について、調査をとりまとめるため、ドイツ、フランス、オーストリアからの資料の収集と整理のために相応の支出をする。また、本年度もドイツから研究者を招聘し講演をしてもらうことを予定しており、そのために相応の支出をする。
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