研究課題/領域番号 |
26285017
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
城下 裕二 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90226332)
|
研究分担者 |
山本 輝之 成城大学, 法学部, 教授 (00182634)
湯沢 賢治 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), 移植医療研究科, 研究室長 (10240160)
柑本 美和 東海大学, 実務法学研究科, 准教授 (30365689)
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50345766)
佐藤 雄一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70326031)
平野 美紀 香川大学, 法学部, 教授 (70432771)
奥田 純一郎 上智大学, 法学部, 教授 (90349019)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 病腎移植 / 臓器移植 / 治療行為 / 正当業務行為 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、まず研究代表者ならびに分担者が一堂に集まる研究会を開催することにより、病腎移植、およびわが国の移植医療一般をめぐる現況、さらには今後生じる可能性のある(刑)法的諸問題の内容に関して、理解を共有し、深化させることができた。 また、平成27年度3月には、スウェーデンにおける生体移植に関する調査を実施した。ストックホルム大学では、刑事法担当のProfessor Petter Aspにインタビューを行い、スウェーデン刑法の下での治療行為の正当化要件、さらには仮にわが国における病腎移植のような実例が生じた場合の刑法的対応のあり方について詳細な説明を受けた。さらに、保健福祉庁の社会委員会(Socialstyrelsen)に設置された移植協議会を訪問し、Dr. Carin Franzenをはじめとする医療専門家2名、法律専門家1名に面会し、スウェーデンにおける移植医療およびそれに対する法的規制に関するプレゼンテーションを受けたのち、わが国における病腎移植の問題について本研究班から説明を行い、互いに質疑応答をする形で情報交換を実施した。スウェーデンは、1950年代から移植医療の法整備を進めてきており、生体移植の実施率もヨーロッパ諸国の中では高いことから、今後のわが国の法規制のあり方に対しても多くの示唆を与えうるものと思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会活動および各メンバーの個人的研究を通じて、病腎移植の法的性格と許容条件の内容については、ほぼ全体的に分析を加えることができた。また、比較法的調査に関しても、スウェーデンにおけるインタビューを通じて、法規制の状況のみならず医療の実態についても多くの貴重な知見を得ることができ、今後のわが国における検討に際しての素地を形成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、定例的な研究会活動を継続すると共に、適宜、海外における比較法的調査を実施し、さらにはシンポジウムの開催に向けての準備活動を行う。特に、平成27年度は、研究代表者が以前から学術的交流を行っていたケンブリッジ大学法学部に、the Centre for Law,Medicine and Life Sciences が新設されたことから、同センターとも連携しつつ、研究を遂行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に出版が予告されていたことから購入を予定していた外国文献に関する物品費につき、出版が次年度に延期されたことにより余剰金が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度購入予定の外国文献中、平成27年度に出版が延期されたものについて、同年度に購入するための追加的な物品費として使用する。
|