研究課題/領域番号 |
26285021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 和志 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10143348)
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研究分担者 |
田中 亘 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00282533)
松中 学 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20518039)
加賀見 一彰 東洋大学, 経済学部, 教授 (50316684)
胥 鵬 法政大学, 付置研究所, 教授 (60247111)
飯田 秀総 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80436500)
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 准教授 (80454479)
家田 崇 南山大学, 法学部, 教授 (90319244)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 法と経済 / 民事法学 / 経済政策 / 会社法 / 企業組織法 |
研究実績の概要 |
本研究は、企業結合における役員の義務のあり方について、法学者と経済学者の共同研究によって明らかにすることを目指すものである。本年度は、3ヶ月に1回程度の定例研究会および年1回の合宿(於同志社大学)を開催し、研究分担者、連携研究者らが自己の研究について報告し、討議を行うことを中心として、研究を進めた。具体的な研究成果としては、飯田が、企業結合の形成段階を規律する、金融商品取引法の公開買付規制のあり方に関して、①強圧性の問題の解決方法など公開買付規制における対象会社株主の保護のあり方、および、②強制的公開買付制度は強行法規である必要はあるのかという問題について検討した。船津は、企業結合法制に関する欧州の立法動向も踏まえつつ、日本の企業結合法制の展開について研究した。特に、親子会社間取引の公正性の判断基準が社会環境に応じて変化しうることを指摘した研究成果を英語で公表した。また、平成26年会社法改正における組織再編やキャッシュ・アウトに関する制度改正について、複数の分担研究者が研究を行った。具体的には、船津が、同改正により導入された開示事項である「対価の相当性」概念から、全部取得条項付種類株式制度をキャッシュ・アウトのために用いることの限界を画することを試みる解釈論を展開した。家田は、略式組織再編の差止請求権をはじめ、組織再編に関する改正事項の研究を行った。松中は、略式再編以外の組織再編等において対価が不公正な場合に株主が差止めを求められるのかについて立法過程も含めた検討を行った。松中および田中は、組織再編やキャッシュ・アウトに際して行われる株式の取得・買取価格決定における価格の算定方法に関する研究を行った。さらに、買収防衛策のために用いられがちな株式持合に関し、胥は、コーポレートガバナンス・コードの導入が、株式持合に対する影響を概観し、株式持合解消の可能性を展望した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の概要」に記載した通り、企業結合の場面における役員の義務に関する法制度について分析を進め、順調に研究成果を公表できているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成26年度および27年度の研究の蓄積を生かして、企業結合の場面における役員の義務のあり方について、より掘り下げた研究を行う年度としたい。従来どおり、2~3ヶ月に1回程度の研究会における報告・討議のほか、年1回の研究会合宿を中心的な研究活動の場として想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の学会での情報収集・研究成果報告を取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外の学会での情報収集・研究成果報告を行う予定である。
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