研究課題
本研究は、企業結合における役員の義務のあり方について、法学者と経済学者の共同研究によって明らかにすることを目指すものである。最終年度に当たる本年度は、3ヶ月に1回程度の定例研究会および年1回の合宿(於東北大学)を開催し、研究分担者、連携研究者らが自己の研究について報告し、議論を行った。こうした研究報告をベースとして、本年度は、企業結合と役員責任ないしその関連領域について、各共同研究者が、具体的な研究成果を公表することができた。具体的には、飯田および松中は、企業結合において中心的な争点となる株式の取得・買取価格決定に関する法律問題を取扱い、舩津は、結合企業における不正会計が行われた場合の法律効果について分析した。飯田は、米国の証券訴訟の分析により、情報開示に基づく役員の責任について議論した。また、企業結合の主要な手段である公開買付けについて、飯田が法制度の課題を論じ、家田が株主行動を実証的に分析した。役員責任のあるべき内容を考える上では、役員責任以外の諸制度(周辺制度)を含めた全般的な考察が必要である。役員責任にはリスクテイキングを萎縮させる危険があるため、他の制度によって企業結合の適正を図ることができるなら、あえて役員責任を課す必要は小さくなるためである。特に、役員に対する株主・株式市場の規律に関連して、田中は、近時再び興隆しつつある株主アクティビズムに対する機関投資家および法制度の対応について論じ、飯田は、株主提案制度およびフェア・ディスクロージャー制度について分析した。胥は、規律付けの観点から過去20年の企業統治改革を総括した。さらに、加賀見の一連の業績は、市場が機能するうえで法制度が果たしうる機能とその問題について分析した。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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