研究課題
基盤研究(B)
伝統的所有概念によれば、所有権は、有体物に対する排他的・全面的な権能であって、その処分は所有者の自由に委ねられる。しかし、現代社会には、伝統的所有概念をそのままあてはめることのできない事象が少なからず存在する。本研究では、それらのうち、(1)建物区分所有や株式、都市計画など、所有権が集団的利益との関係で制約されている場面について、制約の正当化根拠や制度設計のあり方を検討するとともに、(2)負の財の放棄、有体物の無体的利用、文化財や自然資源など、財の特性に応じて所有権の性質につき別段の考慮を要すると思われる事象を、比較法的検討を踏まえて分析し、所有概念を多元的にモデル化する可能性を明らかにした。
民法