研究課題/領域番号 |
26285029
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
猪口 孝 桜美林大学, 総合研究機構, 特別招聘教授 (30053698)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民主主義 / 代表民主主義 / 直接民主主義 / 多元的民主主義 / 超国家民主主義 / 地球民主主義 / 世界的市民の選好 / 多国間条約への参加 |
研究実績の概要 |
現代の民主主義は、その意味と実施が非常に多様かつ複雑になっており、民主主義の概念自体を理論的、実証的にさらに深く鋭く探究することを迫られている。「民主主義」という言葉は、学術用語として最も頻繁に検索されるワードでもある。この認識に立ち、さまざまな視角と方法を使って、民主主義の分析を進めてきた。 今までに、あ)古典的民主主義、とりわけ代表民主主義、直接民主主義、熟慮民主主義、人気民主主義などを概念的に実証的に検討してきた。い)ルソーやロックの社会契約論をメタファーとして使った世界的市民の選好(規範意識や価値観)と多国間条約への参加とがどのように関連しているのかを、1945年から2014年までの120の多国間条約について実証分析した。う)日本とマレーシアの民主主義の意味について、同国の国際イスラム大学と共同世論調査を行った。マレーシアでは本格的な調査を実施できたが、日本については本格的な分析は未完成である。え)2016年米国大統領選挙について、世界市民世論調査の分析を、WIN/Gallup Internationalのデータを使ってベイジアン分析をした。本格的な分析は未完成である。 いずれも一国に限定した民主主義の分析ではなく、トランス・ナショナルな形態をもつ民主主義の分析となっている。あ)とい)は雑誌論文で既に刊行しており、いずれは英文学術書として刊行を計画している。う)マレーシアの分析は、一冊の学術研究書として刊行する予定である。え)については、本年度はチームを立て直して本格的に分析を実施する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
あ)予備的、概念的検討のあと、実証分析に移った。 い)英文学術雑誌や英文百科事典に何本かの論文を刊行した。英文学術書として刊行する計画を進めている。この本は、ベトナム・フエ大学経済学部(Hue College of Economics, Hue University)のレー・チー・クウェン・リエン准教授(Lien T. Q. LE)との共著である。 う)日本側の費用の点で、共同研究相手の国際イスラム大学(マレーシア)のような本格的な世論調査を実施できなかった。 え)予備的分析の上に立って、本年度はWIN/Gallup Internationalの2011年の原発世論調査と2016年の米国大統領選挙についての世界的市民の選好について本格的な分析を実施する。これは、東京大学名誉教授・松原望氏との共同作業とする計画である。
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今後の研究の推進方策 |
あ)実証分析に移った。 い)英文学術書刊行を目指している。ベトナム・フエ大学経済学部のレー・チー・クウェン・リエン准教授との共著である。 う)マレーシア側が実施した調査結果を活用し、学術研究書の刊行を進める。 え)本格的分析を東京大学名誉教授・松原望氏との共同作業として実施する計画である。本年秋に開催される日本行動計量学会第46回大会にて(研究代表者の猪口は同学会の名誉会員)、ラウンドテーブルディスカッション及び特別セッションを行い、松原教授他と研究の中間報告をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に研究代表者が所属大学を異動したこと、また"Japanese Journal of Political Science" "Asian Journal of Comparative Politics" "Sage Handbook of Asian Foreign Policy"という英文ジャーナル3誌の編集長の役割を継続する必要があり、研究体制を十分に整えることができなかった。 「今後の研究の推進方策」に記載したように、英文学術書の刊行、及びWIN/Gallup Internationalの世論調査の本格的な分析を進めるために使用する予定である。
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