平成30年度は最終年度であり、次に焦点を当てた。1)アジア社会の生活の質、2)多国間条約参加の計算、3)内戦から平和への移行政治 1)アジア社会の生活の質は「アジア・バロメーター」という全アジア地域において生活の質に焦点を当てた社会世論調査のデータを多次元化し「アジア社会の類型学」を打ち出した。『The SAGE Handbook of Asian Foreign Policy 』(刊行予定)に考えを発展させた。これは『アジア社会の六類型』として英文学術書に纏める予定である。方法論的に内的妥当性をもち、アジアの専門家の眼から見て外的妥当性ありといわれるものを発表してきている。 2)多国間条約参加の計算は1945-2014年の期間で120個の多国間条約を俎上にあげ、21世紀の計数化された全球化の時代にルソーやロックをグローバルに描いたら、どのようにモデル化できるかを敢行したものである。ロックの多国間条約参加の道具的変数(参加国の参加態様と参加国の帰属)の因子分析より浮かび上がる3次元によって、主権国家の地球的疑似立法行動を8個に類型化し、多国間条約参加を巡る主権国家の間の相互作用が地球政治を紡いでいくというものである。2014年から数本の学術雑誌論文を刊行し、2019年度には『地球的立法政治の理論・ルソーとロックを地球的に描く』に刊行予定である。 3)内戦から平和への移行過程の政治はカンボジア、ネパール、スリランカにおける内戦から平和への移行過程を主として旧兵士への世論調査データを使って分析した。同じような研究を進めている4人の政治学者とAsian Journal of Comparative Politics (SAGE Publications )の特集号に論文5本を刊行している。
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