研究分担者 |
東島 雅昌 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (10756349)
和田 淳一郎 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (30244502)
松田 憲忠 青山学院大学, 法学部, 教授 (30405550)
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
鷲田 任邦 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (50744893)
白鳥 浩 法政大学, 公共政策研究科, 教授 (70285477)
鎌原 勇太 横浜国立大学, 教育人間科学部, 講師 (70710268)
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研究実績の概要 |
本研究では,議会選挙における「一票の格差」の問題を,(1) 世界各国の現状の把握・指標化,(2) 一票の格差が生ずる原因,そして(3)帰結の3つの側面から包括的に分析した。3年間の共同研究においての主な実績は,学会でのパネル報告が3件(日本政治学会,世界政治学会(IPSA),アメリカ政治学会(APSA)),研究分担者による個別の学会報告が 11 件(うち国際学会4件),学術誌での論文掲載が6件である。また,代表者である粕谷と研究協力者である堀内優作(ダートマス大学)は,共著の著書を現在執筆中で,これは2017年度中に出版予定である。 具体的に得られた知見としては,以下のようなものがある。まず、一票の格差の程度を指標化し、約140カ国の国の下院選挙における格差の程度を測定・データベース化した(Kamahara, Kasuya Wada, 2016)。一票の格差の程度に影響する要因として、Ong, Kasuya, Mori (2016)において、一票の格差が最も高くなるのは権威主義的な体制の中でも選挙競合の程度が高いもので、競合度の低い権威主義及び民主主義体制では格差の程度が低くなるという逆U字の関係を指摘し、その原因として政治家の区割り操作のインセンティブが高い一方でそれを阻止する制度的制約がないことを多国間データを用いた計量分析と事例分析によって示した。この論文は現在Electoral Studies においてrevise and resubmitステータスとなっている。帰結に関しては、鷲田(2016)がマレーシアの事例を用いて政治家の政権維持を目的としたパトロネージ配分を効果的に行う道具として区割り操作が行われていることを, Higashijima (2016)が、一票の格差の程度が高い権威主義体制においては、選挙時の暴動が低くなる傾向があることを明らかにした。
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