最終年度にあたった29年度は、前半において、前年度までの関係資料の調査の補足的調査と分析を進め、後半において研究全体のとりまとめを行った。 1.前半期(補足的調査と分析) (1)外務省において新たに公開された戦後処理に関する資料(主として終戦後の在外財産処理に関する資料、1950年代の経済協力に関する資料)の分析を進めた。(2)十分な調査ができなかった戦犯問題に関する資料の分析を進める。(3)上記2課題の分析を踏まえた、日米関係の懸案としての賠償問題(経済協力問題)と戦犯問題の処理過程の分析。以上の3課題の分析を通じて、アジア太平洋の地域秩序と安全保障システムを抱合する枠組としての講和体制という観点から、その構造と特徴を今日の歴史問題との関連で明らかにした。 2.後半期(研究のとりまとめ) (1)研究目的に従い、以下について研究報告をまとめた。①賠償問題の中軸をなす「請求権」という観点から「分離地域」(旧植民地)であった韓国・台湾及び東南アジア諸国の扱いの比較、②東京裁判を含む国際軍事裁判の講和体制における位置づけ、③上記2課題の分析を踏まえた、日米関係の懸案としての賠償問題(経済協力問題)と戦犯問題の処理過程の分析、④アジア太平洋の地域秩序と安全保障システムを抱合する外交的枠組としての講和体制という観点から、その構造と特徴を今日の歴史問題との関連で明らかにした。(2)研究成果を論文と口頭報告の形で発表した。
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