研究実績の概要 |
本年度は既収集の資料の分析を重点的に行い、代表者の川島真を中心に国内では東洋文庫など、国外はスタンフォード大学フーバー研究所などで補足的に資料を閲覧・収集した。2017年3月の最終報告会での報告内容にあるように、茂木敏夫は「「冊封・朝貢」の語られる場」において近代中国の「領土」認識の変容や「言説」を再整理して秩序構造を議論し、岡本隆司は『中国の論理』などで「主権」や「領土」をめぐる問題の変遷をたどり、青山瑠妙は「中国の外交、積極展開で影響力拡大」などで現代中国の「言説」「交渉」に見る主権認識の変容を詳らかにし、川島は“The Turning Points of Modern Sino-Japanese Relations"などで21カ条要求などをめぐる「主権」「交渉」問題を中心に論じるなど、各担当に沿った成果をあげた。研究会は東アジア国際関係史研究会を7回開催した。第16回は白根晴治「比較とマルチ・アーカイバルな方法による非公式帝国研究へのアプローチ」(5月11日)、第18回は郭テイ玉「日本統治期台湾の信用組合と地方金融の発展」(10月25日)、第19回は林亨芬「主権と管轄の間」(2017年1月7日)として開催した。3回分は書評会で、著者の内容紹介および批評者の報告をおこなった。第17回「Hsiaotin Lin, Accidental State, Harvard University Press, 2016」は著者林孝庭、批評松田康博(10月11日)、第20回は「『堕落と復興の近代中国仏教』(法藏館、2016年)」は著者エリック・シッケタンツ、批評松金公正(2月2日)、第21回「『プロパガンダ・ポスターに見る日本の戦争』(勉誠出版社、2016年)をめぐって」は著者田島奈都子、批評川島真(3月6日)であった。第22回は研究代表者・分担者の最終報告会をおこなった。
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