研究課題/領域番号 |
26285063
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
森川 正之 独立行政法人経済産業研究所, 副所長, 副所長 (70272284)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済政策 / 産業組織論 / 生産性 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度に当たる平成26年度は、サービス産業の生産性に関連する内外の研究論文を幅広くサーベイするとともに、「企業活動基本調査」、「特定サービス産業動態統計調査」、「特定サービス産業実態調査」(いずれも経済産業省)の個票データを、統計法に基づく目的外利用承認手続きを経て入手した。 これらデータを用いた解析作業に着手し、サービス貿易と生産性の関係、対個人サービス業の生産性の月次での動向についての記述統計的な分析等を進めた。特に、これまで内外ともに研究蓄積の乏しい企業の生産性の異質性とサービス貿易実施の関係を分析し、サービス貿易を行う企業の生産性が非貿易企業やモノの貿易のみを行う企業以上に高いこと、「企業グループの境界」を越えたサービス貿易を行っている企業の生産性が一層高いことなどを明らかにした。 サービス貿易等に関して3本の論文(ディスカッション・ペーパー)を執筆、ウェブサイトで公表した。具体的には、「サービス貿易と生産性」(RIETI Discussion Paper, 15-J-003)、”Service Trade and Productivity: Firm-Level Evidence from Japan”(RIETI Discussion Paper, 15-E-030)、「経済成長政策の定量的効果について」(RIETI Policy Discussion Paper, 15-P-001)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
政府統計の個票データの取得手続きにいくぶん時間を要したが、26年度内にミクロデータ分析に着手し、3本の論文を執筆・公表しており、おおむね順調に進捗していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降、入手したデータを用いた分析を継続し、順次論文を作成する予定である。その際、政府統計個票データの目的外使用承認期間は1年以内なので、利用期間の延長手続きを行い、分析を継続する。 具体的には、対個人サービス業を中心に、「特定サービス産業動態統計調査」の月次データを使用して時系列での労働生産性やTFPの変動の特性を観察するとともに景気循環との関係を分析する。また、「特定サービス産業実態調査」の年次データを使用し、生産性のクロスセクションでの分散等について分析を行う。 並行して、企業に対するサーベイの調査票の設計を進め、所要の競争入札手続きを経た上で調査機関に外注してオリジナルなデータを収集し、次年度以降の実証研究につなげていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コンピューター、ソフトウエア等の設備備品を新たに購入しなかったため、主として設備備品費が計画以下に抑制されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度以降、調査機関に外注して企業へのサーベイ調査を実施する予定としているところ、こうした調査を行うに際しては競争入札手続きを経る必要があり、必要額の正確な想定が困難なため、前年度未使用額を合わせて使用することを予定している。
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