研究課題
分権的財政制度下の政府間財政関係について、理論分析として、昨年度までに構築したプリンシパル・エージェントモデルは、各期の予算がその期の公共サービスの提供に使用されることを想定していたが、今年度は、各期の予算が公共事業のような投資的経費に使用されることを想定して分析を行った。予算の一部がエージェントの私的利益に流用されることを気づいていても、公共事業が地域経済の発展に貢献することを知るプリンシパルは、私的流用を埋め合わせるために、次期にさらに多額の予算を配分する可能性があることを示した。このようなプリンシパルの予算配分を防ぎ、財政規律を維持するためには、当初予算でなく、補正予算にシーリングをかけることが有効であることを明らかにした。実証分析として、日本の地方政府の財政健全化の実態について、昨年度に引き続きデータを収集し、都道府県を対象とした分析を行った。また、公衆衛生分野を中心に地方政府の政策形成のあり方を考察した。各種の予防接種に対する市町村の助成のあり方を検討し、助成は同じ都道府県内の近隣市町村の政策のありかたと強い相関を持つ一方で、近隣であっても他都道府県のそれとは相関を持たないことを確認した。これは、日本の市町村の政策決定に横並び意識が影響していることを示唆している。さらに、公的病院の運営への政治的要因を検討し、市町村の選挙日程と市町村立病院の医師数・看護師数等とのあいだに正の相関を検出した。この結果は、公的病院の運営に、市町村長の再選動機が影響していることを示唆している。また、平成27年度と平成28年度の税制改正にて、地方税である事業税の外形標準課税の税率が引き上げられた。この外形標準課税の拡大がもたらす経済効果について、動学的一般均衡モデルを用いシミュレーション分析を行った。その結果、事業税付加価値割は労働所得を抑制する効果があることを明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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