研究課題/領域番号 |
26285073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 貨幣 / 国際研究者交流 / 韓国 / 中国 / 日本 / 英国 / 多元性 / 取引 |
研究実績の概要 |
3月6日、ハーバード大学にてイエンチン研究所の協力を得て、工業化前の中国・日本・朝鮮の制度と市場の相互関係を比較するワークショップを開催した。中国と日本の伝統市場ならびに小農経営の差異、朝鮮王朝下の政府買い取り価格と市場価格との関係、幕末明治移行期の下肥市場の変遷、幕藩体制下の大坂米市場における公私関係の実態、国債制度創設における清朝と明治政府の比較、中国重慶における商人間の紛争調停の多元性について、の6報告と中国史、英国史からの討論者を得て、農村市場、ブローカーの役割、価格の多様性、国債制度の比較、移行期の都鄙関係、不履行の際の司法、などを題材に、現実の市場活動を普遍的に再定義していくための方法について議論がかわされた。 研究代表者の黒田明伸は市場活動の多様性と貨幣使用の多元性を関連付けて、世界貨幣史を見直す作業を進めている。その方向の有効性を、イェール大学での貨幣論学会、ユトレヒト大学、ペンシルバニア大学の経済史セミナー、プリンストン大学での東アジア研究セミナーでの招待講演にて報告し、経済学、社会学、人類学、などとの学際的な議論を得ることができた。これらの議論を経て、貨幣の多元性は相互代替できない取引の多様性に起因している、との認識をもつにいたった。 フランス銀行史料館での仏領インドシナ・アフリカの貨幣関係資料、北京・徽州での伝統帳簿調査を遂行中。北京での調査に基づく19世紀中国商人たちの貨幣使用の実態、ことに通貨を使わずに帳簿間の振り替えで大部分の取引を行っていた実態については、黒田が中間成果を4月のハ―バード大学での清代貨幣史国際会議で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の催しであったハーバードでの中国・日本・朝鮮近世比較ワークショップを予定通り行うことができた。フランス、中国における資料調査も進行している。
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今後の研究の推進方策 |
貨幣の多元性についての世界史大の比較を進める。8月京都で開催される世界経済史学会での部会The Quality of Money: Global Monetary Hisgtory beyond the Trinity of Monetary Functionを主宰し、また冬季にヨーロッパでワークショップを開催し議論の継続・深化をはかる。フランス銀行史料館、北京図書館などでの貨幣使用関連史料の調査を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハーバード大学で開催したワークショップに招待を予定していた香港中文大学の教授が健康上の理由から、またジョンホプキンス大学の教授が公務のため、参加できなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヨーロッパで開催予定のワークショップへの報告者・討論者の招待旅費として使用する。
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