研究課題/領域番号 |
26285085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関口 倫紀 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20373110)
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研究分担者 |
RALF Bebenroth 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80403228)
松山 一紀 近畿大学, 経営学部, 教授 (80351691)
中村 志保 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20389191)
笠原 民子 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (40523189)
戎谷 梓 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (90709867)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経営学 / 国際経営 / 人的資源管理 / イノベーション / 多国籍企業 |
研究実績の概要 |
研究初年度であった平成26年度は、「グローバル・イノベーション・プロセスの理解」と「国際人的資源管理の統合モデル」の2つの柱を中心に、文献研究に基づく理論構築、各種調査の実施とデータ分析、中間的研究成果の発信など、多彩な活動を行った。「グローバル・イノベーション・プロセスの理解」に関しては、知識創造を競争力の源泉とするグローバルコンサルティングファームにおけるタレントマネジメントの定性的調査を行い、グローバルレベルでのイノベーション・プロセスの理解への一助を得た。また、東大阪を拠点とする中小企業を対象とした国際人的資源管理についての実態調査を行い、中小企業のイノベーションを担う国際人材の理解に努めた。また、ミクロレベルでのイノベーション・プロセスを理解するため方法論を開発した。 「国際人的資源管理の統合モデル」については、戦略的人的資源管理、国際経営、異文化コミュニケーションなどに関する文献の研究と、企業に対する実証調査を並行させることにより、大まかな理論枠組みの構築を推進してきた。例えば、実態調査に関しては、外国人人材を雇用する複数の日本企業に対する質的調査を通じて、日本企業本社における外国人従業員の包摂のプロセスを明らかにし、南アジアや東南アジアを中心とする海外拠点における有用な人材育成の際の問題点についても分析した。その他、電子・電気企業の4社のインタビュー資料の整理や、日系多国籍企業の国際受け入れ出向制度に関するアンケート調査の実施およびデータ分析も行った。 さらに、次年度以降に行う大規模かつ本格的な調査の実施に向けて、グローバル・コンサルティングファームとの共同研究に向けての取り組みを行った。また、本研究課題の中間的な研究成果の発信の一端として、国際学会における複数の報告に加え、本研究課題のメンバーをメインの著者とする国際人的資源管理の書籍の制作も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間全体の目的と対応させた平成26年度の研究計画では、基礎的な文献整理と理論構築、および予備的な実験や多国籍企業を対処とする調査の実施が盛り込まれていた。実際に、これらの計画は、ほぼ実現できたと判断している。基礎的な文献整理と理論構築については、広範な文献収集と文献研究を行うことによって国際人的資源管理の全貌を把握し、本研究課題のテーマを加える形で、国際人的資源管理のテキストの制作を構想し、その執筆に着手することができた。また、次年度以降の本格的な調査に向けての課題や仮説づくりにも役立つ知識を蓄積することができた。 予備的な実験や多国籍企業を対処とする調査の実施については、研究実績の概要でも触れているとおり、複数の多国籍企業を対象にした質的・量的両方の調査が実施され、そこで得られたデータの予備的な分析が進展しつつある。データの本格的な分析と論文化は次年度以降に持ち越されることとなるが、これらのデータは、国際人的資源管理の統合モデルの各コンポーネントの確立に寄与するものであり、サブコンポーネントのモデル構築が順調に進んでいることを示すものである。 さらに、中間的な研究成果が国際学会における複数の研究報告という形で発信され、次年度以降に成果が期待される国際人的資源管理関連書籍の出版や本格的な学術論文の国際学術雑誌への投稿への発展の道筋を勘案すると、本研究課題の目的の実現に向けた取り組みが順調に進んでいることを示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は、「グローバル・イノベーション・プロセスの理解」と「イノベーション創出型国際人的資源管理の統合モデル」のそれぞれの柱において、理論枠組みおよびサブコンポーネントのモデル構築を進めるとともに、複数の実証研究を行うことによって、理論・モデルの妥当性を検証する作業を行っていく。「グローバル・イノベーション・プロセスの理解」については、文献研究と理論構築を継続し、グローバルな文脈におけるイノベーションやクリエイティビティ理解のためのミクロレベルの実験や調査を進める。 「イノベーション創出型国際人的資源管理の統合モデル」については、複数のグローバル企業に対する大規模な実証調査の実現に向けた取り組みを継続する。また、平成26年度に収集した調査結果やアンケートデータなどを詳細に分析し、発見事項を整理して本格的な論文に仕上げる。研究成果は、論文や書籍の形でまとめ、論文は国際学会や高水準の国際学術誌に投稿していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究調査出張に伴う旅費の実績が、当初の計画よりもやや下回ったため、その分を来年度以降の調査出張旅費もしくは研究成果発表に伴う旅費に用いることを決定したため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した研究費に加え、翌年度以降追加的に行う研究調査出張旅費もしくは研究成果発表に伴う旅費に充当する予定である。
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