研究課題/領域番号 |
26285088
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
川村 尚也 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (80268515)
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研究分担者 |
土屋 貴志 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (90264788)
濱井 和子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80461325)
土師 俊子 (服部俊子) 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50609112)
清宮 徹 西南学院大学, 文学部, 教授 (00360298)
高橋 正泰 明治大学, 経営学部, 教授 (10154866)
福原 康司 専修大学, 経営学部, 准教授 (60337441)
太田 雅晴 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (00168949)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療・福祉組織 / 知識創造経営 / 組織倫理教育 / クリティカルマネジメント研究 / 経営情報 |
研究実績の概要 |
3か年の研究期間の2年目にあたる平成27年度は下記の調査・研究活動を行った。 1.国内外の経営学、倫理学、保健医療・介護・社会福祉研究等の分野における医療・福祉組織の経営と倫理的課題に関する研究文献・資料を収集・分析した。 2.海外研究協力者2名を招聘し、大阪等で施設調査・研究会を2回実施した。平成27年10月31日に海外研究協力者ヒューゴ・レティーシュ氏(オランダ・ユトレヒト人文学大学名誉教授)と共に施設調査を行った後、11月1日にはレティーシュ教授による研究報告を受け討議を行った。平成27年11月12日に海外研究協力者マッツ・アルヴェッソン氏(スウェーデン・ルンド大学教授)との共同施設調査、アルヴェッソン教授の研究報告を受けた討議を行った後、11月14-15日に他の海外研究者も招聘し国際研究集会を行った。 3.平成27年7月19日に科研費助成事業「現場に根ざした医療組織倫理の構築に向けた基礎的研究」(代表:服部俊子・本研究分担者研究メンバーを招聘して合同研究会を開催し、本研究メンバーが研究報告を行い招聘研究者と討議を行った。 4.欧州組織学会(EGOS)、クリティカルマネジメント研究学会(CMS Conference)、組織シンボリズム学会(Organizational Symbolism)等の国際学会で研究報告を行い、海外研究者のアドバイスと研究文献・事例情報を収集すると共に、海外研究協力者等へのヒアリング調査と資料収集を行った。日本経営学会、日本科学史学会、日本情報経営学会、経営情報学会、応用哲学学会等で研究報告を行い、国内研究者のアドバイスと研究文献・事例情報を収集した。 5.平成28年2月27-28日、3月5-6日に大阪市立大学において、大阪市立大学社会人プロジェクト研究受講生の協力を得て、ワークショップ形式の組織倫理教育プログラムを試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、わが国の医療・福祉組織の実態に即した知識創造経営モデル開発に向け、医療・福祉組織の「組織倫理」の実態と課題、知識創造を導く「組織倫理」と「フロネティック・リーダーシップ」のあり方を明らかにし、倫理的リーダーシップを発揮する医療・福祉実務家を育成する、組織倫理教育プログラムの開発を目的としている。平成27年度研究実施計画の概要は以下の通りである。 1.国内外の経営学、倫理学、保健医療・介護・社会福祉研究等の分野における医療・福祉組織の経営とその倫理的課題に関する研究文献・資料を収集・分析する。 2.大阪で年間3回程度、研究代表・分担者が参加する3日間の共同施設調査・研究会を実施する。毎回医療・社会福祉施設各1か所でヒアリング調査を行い結果を検討する。3回のうち2回の共同施設調査・研究会には海外研究協力者を各1名招聘し研究報告を依頼する。残り1回の研究会には国内の医療・福祉組織の経営実務家・研究者を1名招聘し報告を依頼する。 3.国外で開催される経営学系国際学会で進捗報告を行い海外研究者からのアドバイスと研究文献・実践事例情報を収集すると共に、海外研究協力者等へのヒアリング調査と資料収集を実施する。国内の経営系学会と保健医療・倫理系学会で進捗報告を行い国内研究者からのアドバイスと研究文献・実践事例情報を収集する。 4.医療・福祉実務家がグループでわが国の医療・福祉組織の倫理問題について寸劇を構成し、他の医療・福祉実務家の前で上演した後、その内容について観衆を交えて批判的に討議する、ワークショップ形式の組織倫理教育プログラムの試作版を構築する。大阪市立大学社会人プロジェクト研究の受講・卒業生の協力を得て試行し、その結果を分析・評価して問題設定などプログラムの内容に反映させる。 上記に則して平成27年度の研究実績を評価すると、実施計画1-4ともに概ね計画通り達成された。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、3か年の研究期間の2年目にあたる平成27年度は、概ね当初の研究実施計画に沿って研究を実施し所期の成果を得ることができた。現時点で平成28(最終)年度の研究実施に関して、大きな変更が必要となるような障害や与件変更は見当たらず、次(最終)年度も概ね当初の研究実施計画に沿って調査・研究活動を実施していくことで、研究目的の達成が可能となると考えられる。 平成28年度は、平成26-27年度に実施した研究文献・資料の収集・分析、海外研究協力者2名および国内研究者を招聘した共同施設調査・研究会、国内外学会での研究報告と海外調査に加えて、大阪地区の医療・福祉施設を対象に知識創造経営と組織倫理に関するヒアリング調査を行い、その結果を踏まえて、大阪地区の医療・福祉組織を対象に、医療・福祉組織における「組織倫理」の実態と課題、医療・福祉組織における知識創造を導く「組織倫理」と「フロネティック・リーダーシップ」のあり方に関するアンケート調査を実施する。さらに平成28年度後半には以上の研究成果を踏まえ、日本の医療・福祉組織においてフロネティック・リーダーシップを発揮できる医療・福祉実務家を育成するための、ワークショップ手法を活用した組織倫理教育プログラムのプロトタイプを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に招聘を予定していたオランダ在住の海外研究協力者2名のうち1名が、本務校での業務都合および個人的事情により当面来日が困難になり、招聘することができなかったこと、および、ワークショップ形式の組織倫理教育プログラムの試行に大阪市立大学の施設を使用することで、施設使用料等を節約できたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度までに実施した研究代表・分担者によるイギリス、オランダでの医療・福祉施設の実地調査の結果、欧米諸国の中では日本ともっとも類似した医療制度を採用しているフランス、および文化的に日本と類似点があり一定の近代化を達成しているアジア地域における医療・福祉施設の実地調査の必要性が明らかになった。このため平成28年度中にフランスおよびシンガポールでの医療・福祉施設の実地調査を実施することとし、そのための研究代表・分担者の外国旅費と、実地調査に協力してもらう海外研究協力者への謝金等として使用する。
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