研究課題/領域番号 |
26285097
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
坂本 和子 京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (50379070)
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研究分担者 |
阿部 周造 横浜国立大学, その他の研究科, 名誉教授 (30060015)
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学, その他部局等, 名誉教授 (20387525)
木谷 庸二 京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (10299133)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デザイン・ポテンシャル / デザイン嗜好 / 文化差異 / 製品開発 / 国際比較 / デザイン・マーケティング |
研究実績の概要 |
本研究は,人が物を選択や購買する際に重要な要因となる色や形,テクスチャーなどのデザイン要素に着眼し,それらの嗜好には個人に内在しているデザインへの意識や解釈の資質などの,いわばデザインに向き合う準備状態が影響しているのではないかと仮定した.これをデザイン・ポテンシャルと命名し,その実態を把握することと,ポテンシャルの尺度を開発することを目的にさまざまな調査研究を行ってきている. 2年目にあたる本年度は,昨年の文献調査を受けて,対象国の選定と調査設計~実施がメインとなった.具体的にはアジアや欧州でのヒアリングやアンケート調査により,ポテンシャルの尺度を規定するシンメトリーや黄金律といったデザイン技術が消費者にどこまで認識されているのかを検討した.これらの調査により,例えば「日本には左右のバランスを崩したアシンメトリーな建築物や芸術作品が多く見受けられる」「欧州の人々は左右対称のシンメトリー志向が強く、数々の芸術作品がそれを物語っている」などといった、これまでまことしやかに囁かれてきた仮説は一部証明されたといえる.調査対象とした国は,昨年度の東アジアの中国に対して,今回は南アジアに属するバングラディシュを選定した.同国は,近年多くの日本企業が進出しており,親日としても有名である.また,欧州の対象国は,鎖国時でも交流があり,多くの影響を与え合ったといわれるオランダとした.両国とも日本との関連が深い国であり,共通特性や独自性を探る上で興味深い結果が得られると判断した.特にオランダは現地の研究協力者とともにここ数年調査を続けてきており,これまでのデータとの関連からも新しい知見の導出が期待できる. 昨年度の中国と合わせた4カ国でのデータ分析を行い,ポテンシャルを構成する「デザイン認識」として,いくつかの構成変数を抽出することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度実施予定の調査等が延期となり本年度に持ちこされたため,コンカレントに遅れが続いている.さらに研究代表者の大学異動に伴う業務の煩雑化や,次年度へ向けての準備等に加え,本研究をより有意義なものとするための新たな視点からの調査を追加したため,計画通りの実行が困難になり,当初予定していた内容の若干の変更をせざるを得なくなった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を若干変更したため,最終年度は以下の成果導出を目指すべく,研究の調整を行う. ①デザイン・ポテンシャルの尺度を開発し,デザイン嗜好との関係性を検証する.さらに,国別,製品カテゴリー別の独自性や共通特性を抽出する(この項目に関しては予定通りである). ②デザイン嗜好に関して,データの頑健性を高めるために生理学的なアプローチを試み,今後の研究の布石となる仮説を構築することを目指す. ③以上の結果を踏まえて,導出された知見の製品開発への組み込みを検討することで,パラダイム転換の可能性を示唆する. ④共同研究者との合同でインターナショナルコンファレンスの開催や論文作成等による研究成果の公表とともに,研究全体の総括を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関異動に伴う業務上の問題のため、十分な調査を行うことができず,次年度に持ち越したことと、データの頑健性を確保するため、新しい調査等を導入するため,使用計画を変更した.
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度予定していた調査対象国での調査,生理学的指標を導入するための実験調査等に必要な経費として,旅費や謝礼,場合によってはインターネット調査費などに充てる予定である.
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