研究課題/領域番号 |
26285099
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗木 契 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90294397)
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研究分担者 |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
水越 康介 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (60404951)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / リーチ / 行動意図 / マーケティング・コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、ソーシャルメディアにおいてコミュニケーションのリーチと行動意図形成のトレードオフ問題が、理論的・逸話的に示唆されることを踏まえて、この問題を導く社会的なコミュニケーションの成り立ちを多面的に実証し、マーケティング理論への接続を試みる。本研究は、ソーシャルメディアに特有と見られるマーケティング・コミュニケーション上のトレードオフ問題を取りあげる点に特色があり、この新たな問題が生じる要因を解明し、企業の対処方法を検討することを通じて、マーケティング理論の実践的な応用に向けた展開をはかる。 平成27年度は、予備的な取り組みとして、日米の2大学の学生対象に質問紙調査により収集したデータを用いた分析を進めた。この分析結果において、予備調査に先立つ簡易調査で見られた関係が現れなかったことから、その原因の検討、および理論仮説の再検討につとめた。一方でこの分析結果からは、ソーシャルメディアに特有と見られるマーケティング・コミュニケーション上のトレードオフ問題を新たな角度から浮き彫りにする関係も見出されている。 加えて、以上の研究を基軸にしながら、ソーシャルメディアのマーケティング利用に関連する文献調査や企業への聞き取り調査を進めた。 以上から得られた知見については、論文やエッセイとして、複数の学会誌や各種媒体上に公刊するとともに、学会での発表を行い、関連分野の研究者との交流を深め、知見の拡大につとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備調査の分析、そして文献調査を計画通りにすすめることができた。しかし、日米の2大学の学生対象に質問紙調査により収集した予備調査のデータ分析の結果において、予備調査に先立つ簡易調査で見られた関係が現れなかったことから、当初予定していたパネル調査を中止した。 その上で、以上の相違が生じた原因の検討、および理論仮説の再検討のために、当初予定していた文献調査に加え、企業への聞き取り調査を新たに行うことにした。これらの取り組みの結果として、ソーシャルメディアに特有と見られるマーケティング・コミュニケーション上のトレードオフ問題を新たな角度から浮き彫りにすることができており、今後についてはやや軌道修正しながら、計画にしたがった研究を、より焦点を絞った形で進めて行くことができる見通しである。本研究は、探索的な性格の強い研究であることを考えると、おおむね計画どおりの進行といえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、当初予定していたパネル調査を中止し、変わってソーシャルメディアにおいてコミュニケーションのリーチと行動意図形成のトレードオフ問題に関する企業側の取り組みに関する聞き取り調査、および利用者への聞き取り調査に取り組む。平成26年度の調査結果を踏まえると、シェアドメディアとしてのソーシャルメディアの活用の余地が大きいのは、地域イベント関連の告知である。したがって、この利用局面に焦点をしぼり、各種の聞き取り調査を実施することで、より有効な調査を行うことができると考える。リーチと行動意図形成のトレードオフ問題に注目しながら、コミュケーションのデザインを変えることで生じる利用者の動きの変化を、実態を踏まえて検討する。 あわせて平成27年に度は、国際的なインターネットの利用環境や文化の違いを踏まえた検討を引き続き行うために、アメリカと日本におけるソーシャルメディア利用者を対象とした質問票調査を行う。アメリカでの調査については、研究協力者のウィルコックス准教授と連携して調査を実施する。 平成27年度の後半には、以上の2つの調査データを分析し、その結果を検討しながら、理論仮説の再構築を進める。以上の2つ調査データの分析結果については、逐次内容を検討し、研究代表者と研究分担者が関わる学会発表や論文に反映する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたパネル調査を中止により、旅費及び人件費・謝金の使用計画に変更が生じた。また消耗品の使用計画にも若干の見込み違いが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は計画をより精査し、確実な執行につとめる。
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