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2014 年度 実績報告書

課税所得計算における「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26285101
研究機関神戸大学

研究代表者

鈴木 一水  神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90235937)

研究分担者 佐藤 信彦  熊本学園大学, その他の研究科, 教授 (20225981)
渡邉 宏美  福岡大学, 商学部, 助教 (20631964)
一高 龍司  関西学院大学, 法学部, 教授 (30330137)
八ツ尾 順一  近畿大学, 法学部, 教授 (30340855)
齋藤 真哉  横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (40215538)
坂本 雅士  立教大学, 経済学部, 教授 (40279930)
万代 勝信  一橋大学, 商学研究科, 教授 (80209709)
藤井 誠  日本大学, 商学部, 准教授 (80409044)
古田 美保  甲南大学, 経営学部, 教授 (90368473)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード税務会計 / 企業会計 / 法人税法 / 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
研究実績の概要

初年度では、当初の計画どおり総論部分の研究を行い、次の論点について明らかにした。
1.ドイツでは連単分離によって公正価値測定を多用するIFRSの課税所得計算に及ぼす影響を限定し、単体財務諸表では、原価-実現主義会計が堅持されている。2.法人税法22条4項の立法趣旨である税制簡素化は、実務上の混乱の回避あるいは予測可能性の向上を図り、自主的経理を容認するという点から、各種の改正において実現されてきた。3.裁判例等では、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の内容について、課税の公平や担税力測定といった租税法の要請・観点から解釈する傾向がみられるだけでなく、「別段の定め」の規定のない事項について会社の税務処理を否認する、という立法趣旨とは異なる意図で、補完的否認規定的に適用される事例もある。4. 原価-実現主義を堅持する企業会計原則系統の会計基準書等は担税力指標としての課税所得の計算と親和性が高いが、公正価値測定を多用する企業会計基準系統の会計基準書等の出現によって、これらの要素を課税所得計算から排除するための「別段の定め」が必要とされる。5.収益認識について、租税法は、権利確定基準を原則とし、権利の確定が不明か遅れる場合に限って会計上の伝統的な収益の実現要件と整合的な管理支配基準が適用されている。原価・費用・損失の認識について、22条3項と4項で規定している内容は異なっており、3項は企業会計における費用の額が損金の基本であることを示し、また、4項は課税所得計算上の公正妥当性を満たすことを要求している。資本等取引について、株主の最終的な課税までを俯瞰する法人税法は、課税所得計算の枠外において22条5項を規定しなければならない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は13回にわたって研究会を開催した結果、当初の計画どおり、総論部分の研究を終えることができ、その成果についての学会発表や論文公刊も進んでいるため。

今後の研究の推進方策

当初の計画どおり、平成26年度における総論部分の研究成果を受けて、平成27年度は、個別事項に関する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の内容を明らかにし、会計基準書等の内容との共通点および相違点を明らかにする。
ただし、平成26年度の研究によって、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」が企業会計の立場から一般に公正妥当と認められる企業会計の基準および慣行ではなく、税法の立場から一般に公正妥当と認められるものであることが明らかになったことから、従来の個別事項に関して、会計基準書等と税法上の「別段の定め」とを単純に比較するという方策を改め、まず会計基準書等の内容が税法の立場から一般に公正妥当と認められるか否かの検討を行い、もし会計基準書等の内容が税法の立場から一般に公正妥当と認められないことが明らかとなった場合には、税法の立場から一般に公正妥当と認められる会計処理の内容を検討するとともに、「別段の定め」の性質を、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の確認規定、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」を補完・制限する規定、または政策的な見地から「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」を修正する規定、のいずれに該当するか識別する。
また、上述の作業と並行して、総論部分の研究のさらなる深化・精緻化も進める。

次年度使用額が生じた理由

年度末に予定していた資料・情報収集および研究会出席のための出張が、校務と重なってできなかったため。

次年度使用額の使用計画

資料・情報収集および研究会出席のための旅費として使用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 恒久的施設帰属所得の具体的内容と関連する課題2015

    • 著者名/発表者名
      一高龍司
    • 雑誌名

      租税研究

      巻: 785号 ページ: 44-60

  • [雑誌論文] 会計基準の多様化に伴う税務論点―公正処理基準の観点から―2015

    • 著者名/発表者名
      坂本雅士
    • 雑誌名

      會計

      巻: 187巻3号 ページ: 1-15

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 会計基準の多様化に伴う損金問題2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木一水
    • 雑誌名

      會計

      巻: 187巻3号 ページ: 16-29

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 事業体の多様化に伴う税務上の課題2015

    • 著者名/発表者名
      古田美保
    • 雑誌名

      會計

      巻: 187巻3号 ページ: 30-44

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 法人税法における一般に公正妥当と認められる会計処理の基準について―解釈論の展開と課題―2014

    • 著者名/発表者名
      坂本雅士
    • 雑誌名

      會計

      巻: 186巻2号 ページ: 28-42

  • [雑誌論文] 公正処理基準と租税回避2014

    • 著者名/発表者名
      八ツ尾順一
    • 雑誌名

      税経通信

      巻: 69巻13号 ページ: 2-3

  • [学会発表] 公正処理基準の再検討2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木一水・一高龍司・上松公雄・浦崎直浩・齋藤真哉・坂本雅士・佐藤信彦・藤井誠・古田美保・万代勝信・八ツ尾順一・渡邉宏美
    • 学会等名
      税務会計研究学会第26回大会
    • 発表場所
      熊本学園大学、熊本市
    • 年月日
      2014-10-25 – 2014-10-26
  • [学会発表] 会計基準の多様化に伴う税務論点2014

    • 著者名/発表者名
      坂本雅士
    • 学会等名
      日本会計研究学会第73回大会
    • 発表場所
      横浜国立大学、横浜市
    • 年月日
      2014-09-05 – 2014-09-06
  • [学会発表] 会計基準の多様化に伴う損金問題2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木一水
    • 学会等名
      日本会計研究学会第73回大会
    • 発表場所
      横浜国立大学、横浜市
    • 年月日
      2014-09-05 – 2014-09-06
  • [学会発表] 事業体の多様化に伴う税務上の課題2014

    • 著者名/発表者名
      古田美保
    • 学会等名
      日本会計研究学会第73回大会
    • 発表場所
      横浜国立大学、横浜市
    • 年月日
      2014-09-05 – 2014-09-06

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公開日: 2016-06-01  

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