本研究の学術的意義、社会的意義はつぎの3点にまとめられる。(1)本研究は、緊急時における事例の実証研究をとおして、政策目標を基準にした成功―失敗と異なる社会的成功―失敗の次元が存在し、両者が同居する構造を社会学的に浮き彫りにした。(2)これまで十分に解明されてこなかった、間違った政策が連鎖して変更できなくなる過程に関与する信念の効果を具体的に裏付けることができた。(3)本研究の結果、局所的な目標達成には成功したにもかかわらず社会的に失敗した場合における適切な責任配分のあり方とそのような責任配分に立脚した政策軌道の転換を展望することが期待される。
|