研究課題/領域番号 |
26285120
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
Khor Y.T.Diana 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (00318594)
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研究分担者 |
千年 よしみ 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 第1室長 (00344242)
釜野 さおり 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第2室長 (20270415)
斧出 節子 京都華頂大学, 現代家政学部, 教授 (80269745)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会学 / ジェンダー / セクシュアリティ / クィア研究 / 家族研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本を含む東アジアの文脈における成人期母娘関係においての「親密性の実践」を、異性愛規範、ジェンダー、家族のあり方に注目しながら質的に分析し、母娘関係の研究ならびに親密性概念の検討に新たな視点を創出することである。そのために先行研究・既存調査のサーベイ、日本と香港におけるフォーカス・グループ・ディスカッションおよびインタビュー調査、香港の研究協力者ならびに他の専門家とのワークショップ等の実施を計画している。 平成27年度は、前年度に実施した香港と日本におけるフォーカス・グループ・ディスカッションのテープ起こしと英訳を完了させ、英訳されたテキストの分析に着手した。まず、母および娘の社会経済的属性によって関係性がどのように異なるのか、香港と日本のそれぞれにおいて、関係性を特徴づけるものはあるのかに加え、娘の仕事や学業等での達成、娘がジェンダー規範的な生き方をしているか否か、母親と娘の経験の共通性の有無によってどのように関係性に影響を与えるのかに注目して分析している。さらに、「母娘関係」には「親子関係」とは異なる特徴や性質があるのかを描き出す。 また、無作為抽出による調査を通じて、母娘関係の実態とその捉え方に関する全国規模のデータを収集した。具体的には、母とのコミュニケーションの重要性の認識、一人の女性としての母親への共感の有無、母親に悩み事を打ち明けられるか否か、母と独立した考えがあるか否か、母は考え方を尊重してくれるか否かについてたずねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成に向け、初年度に実施した先行研究と既存調査のサーベイ結果を踏まえ、香港と日本で実施したフォーカス・グループ・ディスカッションの内容の英訳まで完了し、その分析を手がけている。次年度にその成果を報告するために、国際学会へのエントリーを済ませている。さらに母娘関係に関する規範を調べるために、無作為抽出による調査を通じて、データを収集することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度に続き、母娘関係において、異性愛規範、ジェンダー規範、家族規範がどのように実践され、再構築されているのかを分析する。分析過程において、必要に応じていくつかの追加のフォーカス・グループ・ディスカッションを追加で実施し、個別インタビュー調査の準備を進める。これまでの成果を7月に開かれる世界社会学フォーラムにおいて報告する。また、平成27年度に収集した母娘関係の実態と規範に関する量的データの分析に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、香港の研究協力者との日程調整ができず、研究代表者と研究分担者が当初予定していた香港での打ち合わせが実施できず、メールのやりとりで連絡を取り合っていたため、出張旅費の執行がなされなかった。また、平成27年度に、研究協力者に依頼して香港で実施した調査(1件)の実施費用ならびに録音の英訳費用の支払いが先延ばしになっているため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の海外旅費(学会での成果報告)、追加で実施予定のフォーカス・グループ・ディスカッションの実施費用とテープ起こし・英訳費用、先行研究のレビューとの研究補助の謝金、香港の研究協力者との打ち合わせ旅費等に使用する計画である。
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