• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

日本とアジア新興国における少子化・教育・雇用の関連に関する国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 26285122
研究機関中京大学

研究代表者

松田 茂樹  中京大学, 現代社会学部, 教授 (00706799)

研究分担者 竹ノ下 弘久  上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10402231)
小澤 昌之  青山学院大学, 法務研究科, 助手 (10711062)
渡辺 秀樹  帝京大学, 文学部, 教授 (30114721)
シム チュン・キャット  昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (60721446)
ベ 智恵  桜美林大学, リベラルアーツ群, 講師 (90645219)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード国際情報交換 / 既存研究サーベイ / 調査計画の立案 / 国内情報交換
研究実績の概要

本研究の目的は、日本とアジア新興国における少子化を比較研究し、次の2点を明らかにすることである。第一は、既存研究において十分解明されていない、「教育」「若年雇用」「少子化」の3者の関係を解明することである。第二は、上記の分析及び既存研究の知見を総合して、日本およびアジア新興国の少子化及びその背景要因の特徴を捉える理論枠組みを構築することである。
研究初年度は、次の5点を実施した。第一に、3回の研究会を開催し、既存研究の知見の収集および批判的検討、本研究テーマの国内第一人者を招聘しての講演と意見交換、具体的な調査・分析計画等をすすめた。第二に、既存研究サーベイから、日本・アジア新興国における少子化の要因に関わる主要仮説として、①女性の経済的自立・WLB仮説(阿藤 2000など)、②「圧縮/半圧縮された近代」仮説(張 2013;落合 2013)、③「共同体主義の衰退」仮説(Reher 1998;加藤 2013)、④教育競争・階層格差仮説があることを整理した。このうち本研究は、特に既存研究では計量的に十分解明されていない④に注目している。第三に、研究方法として、日本、韓国等について公開されている調査データを用いた二次分析を行い、これと比較するかたちで、シンガポールにおける量的調査を実施する計画を立てた。第四に、研究会メンバーが3月にシンガポールへ出張し、首相官邸のNPTD、住宅公社であるHBD、シンガポール国立大・SIM大学にてヒアリングと意見交換を行った。SIM大学で開催された公開セミナーにおいて、松田茂樹と竹ノ下弘久が講演を行った。ここでえられた知見をシンガポールの量的調査および日本等との比較分析に活用する。第五に、二次分析を行う既存データの整備を行い、分析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は4年計画であり、初年度に行うべき研究活動は遂行した。まず、既存文献サーベイと国内有識者の講演・意見交換から得た既存研究の知見を整理した。これらの作業は次年度以降も続ける。また、内閣府から少子化に関する調査のデータの使用について承諾を受け、二次分析を開始した。シンガポール出張では、同国の政府機関や研究者らから情報収集を行うことができた。SIM大学で開催された公開セミナーで、ここまでの研究でえられた知見を講演し、フロアから次の分析につながるコメント等を受けることができた。以上のとおり、本研究は当初予定した計画どおり順調に遂行している。

今後の研究の推進方策

初年度の研究成果をふまえて、年度2年目は、以下5点をについて研究を前進させる。第一に、引き続き既存研究サーベイをすすめて、既存研究で解明されている知見と未解明の知見を整理する。そのために、研究会に韓国の少子化を研究する国内研究者を招き、情報・意見交換も行う。第二に、日本とアジア諸国の少子化・少子化対策を比較するにあたり、今一度日本の少子化状況、対策を再検討する。このテーマについて、研究代表者は論文を執筆する予定である。分析の主な視点は、少子化の状況および背景要因について従来どのような分析がなされてきたかということを整理すること、そこで教育や若年雇用の問題がどのように評価されてきたかを把握すること、これまでの少子化対策によって出生率が回復できなかった理由を検討することである。第三に、内閣府の少子化に関する調査等の二次分析をすすめる。後述のシンガポール調査のデータが完成する前であるため、同国以外の状況を分析することを目的とする。第四に、シンガポールにおける独自の量的調査を企画し、実査を行う。この調査を既存調査と比較可能な内容にもすることで、前述の既存データと合わせたデータセットを構築して、既存研究にはない二次分析を行う。実査は次年度末から翌年度にまたがる予定である。第五に、研究3年目に分析の中間的知見を学会等において発表する予定であり、その具体的計画をすすめる。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者と研究分担者において、海外出張費等の清算額が当初想定を下回ったため、次年度に繰り越す使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

未使用額は、研究代表者と研究分担者の旅費や調査費用に充当する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Declining Birth Rates: Actual Conditions and Causal Factors of Japan's Declining Birth Rates2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, Shigeki
    • 雑誌名

      Child Research Net

      巻: February 13, 2015 ページ: 1, 6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 経済的にゆとりのない青少年の学校生活と人間関係2015

    • 著者名/発表者名
      小澤 昌之
    • 雑誌名

      都市社会研究

      巻: 7 ページ: 107-122

    • 査読あり
  • [学会発表] Declining birth rate in Japan- Why it remains low ? -2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, Shigeki
    • 学会等名
      SIM University Open Seminar
    • 発表場所
      SIM University(Singapore)
    • 年月日
      2015-03-11
    • 招待講演
  • [学会発表] 青少年の学校外教育利用に関する研究――日韓中高生を対象とした質問紙調査をもとに2014

    • 著者名/発表者名
      小澤 昌之
    • 学会等名
      日本社会学会大会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-11-23
  • [学会発表] The Raison d'etre of Women's Universities in East Asia Amidst an Age of Diversity and Harmony2014

    • 著者名/発表者名
      SIM Choon Kiat
    • 学会等名
      The 2nd Aisa Future Conference
    • 発表場所
      Bali
    • 年月日
      2014-08-23
  • [学会発表] Slow Birth and Fast Growth of a World-Class Post-Secondary Education in Singapore2014

    • 著者名/発表者名
      SIM Choon Kiat
    • 学会等名
      XVIII ISA World Congress of Sociology
    • 発表場所
      Yokohama
    • 年月日
      2014-07-16
  • [学会発表] わが国の少子化の背景と対策の課題2014

    • 著者名/発表者名
      松田茂樹
    • 学会等名
      社会デザイン学会 シンポジウム
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2014-05-24
    • 招待講演
  • [図書] 人口急減と自治体消滅2015

    • 著者名/発表者名
      松田茂樹「座談会―人口減少社会の今、何をすべきか」
    • 総ページ数
      30(339-369)
    • 出版者
      時事通信社
  • [図書] 岩上真珠編『国際比較 若者のキャリア』2014

    • 著者名/発表者名
      裵 智恵「韓国の若者政策:現状と課題」
    • 総ページ数
      19(111-129)
    • 出版者
      新曜社
  • [図書] 樋田大二郎・苅谷剛彦・堀 健志・大多和直樹 編著『現代高校生の学習と進路 - 高校教育の『常識』はどう変わってきたか?』2014

    • 著者名/発表者名
      シム・チュン・キャット「日本とシンガポールにおける高校教師の仕事の違い」
    • 総ページ数
      21(98-108)
    • 出版者
      学事出版

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi