最終年度の平成29年度は、昨年度に実施された郵送回顧調査(NFRJ-16R)のデータ整備を行い、実質的な分析に着手することができた。調査データについては、6月には暫定的に形式を整え、8月に集中的なデータクリーニングを施した。複雑性の高い回顧調査データについて短期間にクリーニング済みデータを整備できたことは、本研究での研究の大きな成果である。昨年度までに準備したデータ入力・クリーニングのシステムが有効に機能することを確認することができた。また、データクリーニングの過程で回答の正確性についてある程度の検討がなされたが、厳密な回顧時点のぶれはあるものの、重要な変数間の関連については十分に実質を反映したデータが得られていると考えられることが確認された。そうして整備されたデータからは、パネル調査と同様の分析手法で高度な知見が得られ、日本家族社会学会の学会大会で口頭報告されるとともに、機関誌にその基本成果が掲載された。結婚や離婚、出産が負担感や幸福感に及ぼす影響や、規範意識の経時的な変化、地域的な多様性などが分析されている。 本研究課題のために組織した「家族社会学パネル研究会」については、連携研究者と協力しながら54名のメンバーで活動を続け、6月と11月に研究報告会を開催した(各18名、38名の参加)。6月の研究会では実施された郵送回顧調査(NFRJ-16R)の結果概要が報告されるとともに、パネル調査を用いた分析など計4本の報告がなされた。11月の研究会ではNFRJ-16Rを用いた実質的な分析報告を含めて計3本の報告がなされた。
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