研究課題/領域番号 |
26285132
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
岡部 卓 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (40274998)
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研究分担者 |
西村 貴直 関東学院大学, 社会学部, 准教授 (10389512)
松本 一郎 大正大学, 人間学部, 講師 (30459961)
鈴木 忠義 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (60440195)
西村 貴之 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (60533263)
小林 理 東海大学, 健康科学部, 准教授 (80338764)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活保護 / 子ども / 進路選択 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の2点を明らかにすることである。第1に、生活保護受給世帯において、子どもが「なぜ」、「どのようにして」特定の進路選択に至ったのかを明らかにすることである【目的1】。第2に、以上の研究を行うための補助線として、国内外の政策・研究動向の把握を行うことである(【目的2】)。 2015年度は、次の2通りの研究を実施した。第1に、生活保護を利用する有子世帯の養育者に対してインタビュー調査を実施した。具体的には、2014年度調査の協力者であるZ県(町村部)8世帯のうち、辞退者1世帯を除く、7世帯7名の養育者に調査を実施している。また、X県Y市(都市部)に関しては、2014年度調査の協力者11世帯のうち、辞退者4世帯を除く、7世帯7名の養育者に対して調査を実施した。加えて、新規の協力者3世帯5名)に対しても調査を実施している。 第2に、上記の協力者世帯の子どもに対するインタビュー調査を実施した。具体的には、Z県(町村部)において、中学生2名、高校生2名の計4名に対して調査を実施している。また、例外的に、養育者の調査に20代の若者が同席、回答している。他方で、X県Y市(都市部)では、中学生1名、高校生1名の計2名に対して調査を実施している。 上記17世帯19名の養育者、7名の子どもに対するインタビュー調査から、2015年度時点での、世帯構成員の就労状況、福祉事務所との関係、子どもの学校生活、進路希望に関する一次資料を得ることができた。また、初年度調査からの変化(進路希望、学校卒業後の移行など)に関する情報も得ることができた。なお、2015年度の調査結果は、逐語的に書き起こして、匿名化の処理を施したうえで報告書にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「おおむね順調に進展している」とした理由は以下のとおりである。 当初の予定どおり、生活保護を利用する有子世帯の当事者(養育者・子ども)に対してインタビュー調査を実施できたことである。辞退者も一部出たが、(1)Z県(町村部)7世帯7名の養育者、5名の子ども、(2)X県Y市(都市部)10世帯12名の養育者、2名の子どもに対して調査を実施でき、調査研究事業が遂行されている。なお、上記の調査結果は、逐語的に書き起こししたうえで、匿名化を行い報告書にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は、以下の研究計画を予定している。第1に、過去2年度分の当事者調査(生活保護を利用する有子世帯の養育者・子ども)の結果を分析・精査する。従前の研究計画では、本年度も当事者調査を予定していたが、過去2年度の調査から豊富なデータ(長時間にわたる「語り」、年度間の変化)を得ることができた。そのため、2016年度は、これらの調査結果から得られたデータを分析・精査することとした。 本年度は、特に2年度間での変化(子どもの進路希望、学校から学校/労働市場への移行など)の分析、地域間(町村部、都市部)での比較分析を中心に行う予定である。具体的には、当事者(養育者・子ども)の意向・ニーズ、生活保護制度・運営、社会資源の多寡・配置、支援方法に異同性がみられるかを分析する。 第2に、貧困の世代間継承(再生産)解消にむけた国内外での政策動向を把握・分析する。ただし、上記と同様に、本年度は過去の研究結果の分析・精査を中心に行う。 第3に、代表研究者、分担研究者、その他(研究協力者など)による研究会の実施を予定している(2016年の夏期を予定、個別グループで間では複数回を予定)。研究会では:(1)調査の分析結果の報告、討議;(2)政策動向の報告、討議を行う予定である。以上の研究会によって:(1)個別的な分析結果をグループ内で共有し;(2)研究者間で批判的に精査することが可能になると考える。本作業により、当事者調査の分析結果と政策動向の研究結果を総合する学術的知見、ならびに、政策的・実践的知見(社会的貢献)が導出できると考える。 最後に、上記の研究会の内容を含む研究成果・知見を、学術論文や学会での口頭報告を通じて社会に発信していく。また、本年度末には、上記の研究会で得られた知見を整理して、研究報告書としてまとめる。
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