研究課題/領域番号 |
26285134
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
岩田 美香 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (30305924)
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研究分担者 |
野田 正人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (10218331)
新藤 こずえ 立正大学, 社会福祉学部, 講師 (90433391)
福間 麻紀 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (70581867)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会的養護 / 家庭的支援 / 児童自立支援施設 / 小舎夫婦制 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会的養護において重要視されている「家庭的」支援の内実と今後の支援について、児童自立支援施設の援助を通して検討することにある。家族が変化してきている現代において「家庭的」支援とは何であるのか、その有効性と支援のあり方を明らかにするものである。研究初年度である本年は、主に「小舎夫婦制」を中心に検討を行った。 1.現在の児童自立支援施設の現状と課題(施設の状況、施設入所児童の傾向と在籍期間、また援助体制としての小舎夫婦制・交代制・並立制、および援助内容)について、5カ所の施設見学、職員からのレクチャー、研究のレビューおよび全国児童自立支援施設協議会による調査の結果から考察した。 2.全国の現職の児童自立支援施設職員に対するアンケート調査票の作成に際し、「以前に寮舎をもたれていた方へのアンケート調査・ヒアリング調査」をパイロットスタディと位置づけていたが、アンケート作成のためだけに使う以上に価値のあるデータを得られると協議し、ヒアリング調査の数を増やして分析対象とした。 3.「以前に寮舎をもたれていた方への調査」では、8名からの記述式回答を得て、ヒアリングはパートナーも含む15名の方から応諾を得た。本年度は11名のヒアリングを実施し、残り4名は調査協力者の都合で27年度5月に実施する。記述式回答と11名のヒアリング調査からは、ケアの継続性と勤務状況の問題、援助におけるコンビネーションとチームワーク、父親的・母親的役割と自立支援の関連、子どもへの個別性と集団への対応、子どもを間においた三者関係と子ども対大人の二者関係に関する取り組みについての知見が得られた。 4.現職の児童自立支援施設職員へのアンケート調査票(施設向け調査票と各職員向け調査票)を確定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた現職の職員へのアンケート調査は次年度に持ち越されることとなったが、「もと寮舎をもっていた方」夫妻へのインテンシブなヒアリング調査を、ケース数を増やして行うことができ、研究全体の枠組みと分析視点を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.全国58施設職員へのアンケート調査を実施し分析・考察する。 2.上記1の結果もふまえ、また今年度の「もと寮舎をもっていた方への調査」結果もふまえて、寮舎を担当している現職の職員(小舎夫婦制・交代制・その他の形を含む)へのヒアリング調査を実施する。 3.子どもの立場からの検討も行うため、入所児童へのアンケート調査、ヒアリング調査、および退所児童のヒアリング調査を実施する予定であるが、このうち入所児童のヒアリング調査は施設によっては許可が出ない場合が想定される。その際は、職員に対して児童についてのヒアリングなどを行い、入所児童へのアンケート調査の内容を補うこととする。 4.学会報告や雑誌への投稿も含め、平成27年度に報告書を作成し、最終年度には研究成果を出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究実績に記したように、もと寮舎をもっている方へのヒアリング調査を積極的に行うこととなり、その分、旅費の支出が多くなった。次年度に行うアンケート調査分析のための統計ソフトを購入する予定であったが、残金が足りないため、次年度の経費と併せて統計ソフトを購入することにしたため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて、SPSSの統計ソフトを購入する費用に充てる。
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