研究課題/領域番号 |
26285141
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
牧里 毎治 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (40113344)
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研究分担者 |
関川 芳孝 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10206625)
安立 清史 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (40192968)
橋本 理 関西大学, 社会学部, 教授 (60340650)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コミュニティワーク / 社会起業 / ニーズの需要化 / 資源の資産化 / 職域社会 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、同年に実施した就労継続支援A型事業所のアンケート調査、28年度に実施予定の実態調査に向けて、3つのサブテーマに分けた研究グループの意見調整を行うための研究会、研究作業部会を企画・開催した。各研究グループの構成員全員が参加する研究会を「全体研究会」と位置づけ、2回実施した。 本年度は、これまで同様に、各回をとおして社会的に排除されがちな人々の雇用・就労する方策に取り組む実践事例等の研究を行ってきた。とりわけ、過疎や、インナーシティーなどにおいてそのような人々に出番と役割を創出することが可能なのかの議論を行った。それらに加え、本年度は地域福祉研究と、社会的企業、社会起業の接点を探るために、コミュニティワークの歴史的変遷を整理した。これまでの地域社会の維持や再生に関してコミュニティワークに期待が寄せられ、また、それらの課題に対して役割を果たしてきたものの、社会状況の変化とともにその役割・機能に変化が生じており、新たな方法として資源開発の必要性が生じていることを理解した。これらを元に社会起業型コミュニティワークの大枠の概念を整理した。 これらの成果をもとに、研究作業部会では、平成27年度に実施した障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型事業所のアンケート調査の結果を踏まえて、1.ニーズの需要化プロセス研究、2.資源の資産化プロセス研究、3.社会起業型コミュニティワークのプロセス研究の各研究グループごとに総括的なプロセス評価分析を引き続き実施する予定である。また合わせて、優れた事例の収集と類型化のためのヒアリング調査を実施し、事例の編集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、3つの研究グループを組織し、それぞれに研究課題を設定していたが、全体研究会ではゲスト招聘を通した最新の地域福祉研究動向の把握や、国内におけるレジリエントな地域実践を行う事例調査等に注力した。そのため、各研究グループが有機的な連携をもとに研究を進めるという点では、時間的な都合等により十分に執り行えたとは言い難い状況にある。 しかし、連携研究者や研究協力者とともに予定通りに就労継続支援A型事業所のアンケート調査を実施し、それらの結果に関しても、現場の実践者を交えた研究作業部会を組織することを通して検討し、学会報告、論文執筆に向けての準備を進めてくることができたため、本研究全体の進捗状況としては「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成27年度に実施した障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型事業所のアンケート調査の結果を踏まえて、1.ニーズの需要化プロセス研究、2.資源の資産化プロセス研究、3.社会起業型コミュニティワークのプロセス研究の各研究グループごとに総括的なプロセス評価分析を引き続き実施する予定である。また合わせて、優れた事例の収集と類型化のためのヒアリング調査を実施し、事例の編集を行う。 1.の研究グループは、潜在化したニーズの顕在化と住民による支援の組織化の実態と取組みを明らかにして、社会起業型コミュニティワークの手法としての技法開発につなげる。2.の研究グループは、未開拓の地域資源を顕在化させる取組みを視覚化し、個人的資源や未利用資源の活性化プロセスを明らかにする。地域社会の自然資源、人的資源、文化資源、設備資源、制度資源などを分類しながら、資源把握、資源発見、資源再生、資源活用など社会起業型コミュニティワークに応用できる手法・技法の開発を図る。3.の研究グループでは、2つの研究グループの成果を取り入れて、ニーズの需要化と資源の資産化を融合させているネットワーク論、ソーシャル・キャピタル論の観点から地域社会の仕事づくり、職場づくりなどの「職域社会」の形成に社会起業型コミュニティワークが寄与するプロセスを裏付ける。 また、最終年度となる次年度は、これまで2年間にわたって3つのグループに分かれて行ってきた研究蓄積のまとめの作業を行うために全体研究会を行う。さらに、研究で明らかになった認識や新しい知見を成果研究会の開催、公開研究シンポジウムの開催、出版などをとおして広く公開する。とりわけ公開シンポジウムは他の研究者や実践化を招き討議、意見交換できるように工夫を重ねる。これらの研究会やシンポジウムの結果を踏まえ、出版に向けた企画や、編集、執筆を行う。
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